研究課題
包接機能食品実用化のためのin vitro吸収評価法の確立に向けたモデル系として選んだα-リポ酸/γ-CD複合体を用いた包接のダイナミクスを評価した。即ち、R(+)体のみが生体内で有効性を示すα-リポ酸の両異性体のγ-CD複合体を調整した上で、R(+)体とS(-)体を区別の可能性に関して、独自に展開したNMRでの分子解析であるDOSY法を用いての、各プロトンの拡散係数の比較が有効であることを初めて見出した。この結果、DOSY法で評価される分子としての動きよりも、その分子を構成するプロトン個別の拡散係数値が、微弱な化合物包接構造を確認する有効なパラメータとして評価できる可能性を初めて示すことができた。次いで、この拡散定数値のパラメータを利用して、さらにα-、β- CDを加えた3種の CD の各水溶液中での会合と非会合(包接状態と徐放状態)の平衡状態を調べることで、α-CD1分子中に1分子包接、β-CD1分子には複数個の包接、γ- CD分子中では1個ないし複数個のリポ酸が高速に包接と徐放の平衡状態にあると見積もれた。この条件に対して、徐放剤のモデル候補を検討し、胆汁酸中の主成分であるグリココール酸塩に予強力な包接が観測された。即ち、β-CDで1:1及び1:0.1の両系において、γ-CDでも1:0.1の系で完全な包接状態が観測できた。そこで本包接体へのグリココール酸の競合実験へと展開し、その徐放効果を証明することで、本研究目的の消化吸収系内モデル系の構築が可能となった。他方、新規機能錯体の合成を展開、金属として、塩化第二鉄と硫酸第二鉄を用いた機能錯体の合成に成功したことにより、構築したモデル系によるこの包接体の機能性食品としての評価が可能となった。
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