関節リウマチの発症リスクとして喫煙が認知されている。一方、申請者は疾患モデル研究において喫煙曝露による腸内環境の不均衡から肺気腫及び骨粗鬆症モデル動物を作出し、これら疾患モデルが、栄養素(グルタミン、ポリデキストロース、ラクチュロース)とBifidobacterium lungumの混合物(GFOB)の摂取により改善されることを発見した。そこで、喫煙曝露による関節リウマチモデルを作成し、GFOBを素に関節リウマチ改善のための栄養素とビフズス菌の組成率、濃度と摂取期間を検討した。 AIN-93G、セルロース欠乏AIN-93G(以下、欠乏飼料)あるいは欠乏飼料にGFOBを添加した飼料(以下、GFOB飼料)をLewis系雄性ラットに与え、8週間後に常法によりMycobacterium tuberculosis H37RAを含むアジュバントを用いてアジュバント関節炎を誘発した。免疫応答による足指、足裏及び踝の腫脹はAIN-93G群に比して、欠乏飼料群で有意に増大した。これに対し、グルタミン、ポリデキストロース、ラクチュロースの各々2%、3.2%、3%、あるいは2%、1.6%、0.48%を含む欠乏飼料にBifidobacterium lungum を5%添加したGFOB飼料の摂取が有意に抑制した。 8週間の喫煙曝露(ハイライト®15本/30分/回、2回/日、6回/週)は、曝露後のアジュバント関節炎の腫脹を非喫煙群に比して、AIN-93G群と欠乏飼料群で有意に増大した。これに対し、2%グルタミン、1.6%ポリデキストロース、0.48%ラクチュロースと5%Bifidobacterium lungum 含むGFOB飼料の摂取が有意に抑制し、更に骨密度の減少ならびに腸内細菌叢の不均衡も改善した。以上より、喫煙に基づく関節リウマチを改善するシンバイオテイクスの組成率、濃度と摂取期間が示唆された。
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