研究課題/領域番号 |
26350170
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研究機関 | 九州栄養福祉大学 |
研究代表者 |
喜多 大三 九州栄養福祉大学, 食物栄養学部, 教授 (50153086)
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研究分担者 |
柳原 延章 産業医科大学, 医学部, 教授 (80140896)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | テアニン / 緑茶 / 自律神経バランス / カテコールアミン / ストレス / 計算負荷 / IkarisosideA / フラボノイド |
研究実績の概要 |
本研究は、健常女性ボランティアにおける豆乳や緑茶などの食品摂取後の自律神経バランス測定を行い、食品の特徴的なパターンを見出す。さらに食品に含有するアミノ酸やフラボノイド等による機能成分のカテコールアミン(CA)神経機能や抗ストレス(ST)効果に及ぼす影響を調べ、その効果を検討する。 平成27年度の研究実績は、ST負荷は低強度の精神負荷とされるクレぺリンテストによる計算負荷を用い、自律神経バランスの変動について、テアニン摂取およびプラセボ摂取の効果を検討した。プラセボ摂取前後の比較では、交感神経領域と副交感領域(S/P)の比および交感神経興奮度は有意に増加し、交感神経の興奮が認められた。一方、同条件でのテアニン摂取前後の比較では、S/P比は有意に減弱し、副交感有意性は有意に増加したことから、テアニンによる副交感神経の興奮性が高まっていることが推測された。以上より、健常者へのテアニン摂取は、副交感神経活性の増加、あるいは抗ストレス効果をもたらす可能性を示唆した。これらの結果は、第62回日本栄養改善学会総会(福岡、2015年9月)において発表した。他方、共同研究者の柳原らは交感神経実験系である副腎髄質細胞において、フラボノイドのIkarisosideAがニコチン性アセチルコリン受容体機能を抑制して、CA分泌及び生合成を抑制する研究結果を第89回日本薬理学会年会(横浜、2016年3月)及び論文(Naunyn-Schmiedeberg’s Arch Pharmacol 388: 1259-1269, 2015)において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度は、健常者へのテアニン摂取は、副交感神経活性の増加、あるいは抗ストレス効果をもたらす可能性を示唆した。また、テアニン及びプラセボ摂取等の食品摂取30分前後の唾液を採取し、ストレス(ST)指標であるコルチゾール、アミラーゼおよびクロモグラニンAを測定し、自律神経バランスのパターンと比較検討する予定であった。それらのマーカーのうち、アミラーゼの測定を実施した。しかし、データのばらつきにより、一定の方向性が観察できなかった。したがって、アミラーゼ等のST指標の測定時間や標本数を検討し、平成28年度に再度測定を実施する。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度に実施した計算ストレス(ST)負荷条件の検討では、テアニン摂取の効果が確認された。平成28年度は、より正確なテアニンによる抗ST効果を捉えるため、計算ST負荷条件下、テアニン摂取等の食品摂取前後の唾液を採取し、ストレス指標であるアミラーゼ等を測定し、自律神経バランスの結果と比較検討する。また、緑茶、豆乳などに含有されるアミノ酸、フラボノイド等の機能性成分によるCA動態への影響についても検討を加え、食品機能評価の基盤研究を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は、同時にテアニン摂取等の食品摂取30分前後の唾液を採取し、ST指標であるコルチゾール、アミラーゼおよびクロモグラニンAを測定し、自律神経バランスのパターンと比較検討する予定であった。それらのマーカーのうち、アミラーゼの測定を実施した。しかし、データのばらつきにより、一定の方向性が観察できなかった為、ストレス指標の実験が停滞し、測定試薬等の次年度使用額等が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は、より正確なテアニンによる抗ストレス効果を捉えるため、テアニン摂取等の食品摂取前後の唾液を採取し、ストレス指標であるアミラーゼ等を測定し、自律神経バランスのパターンと比較検討する。また、緑茶、豆乳などに含有されるアミノ酸、フラボノイド等の機能性成分によるCA動態への影響について検討を加え、食品機能評価の基盤研究を行う。
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