研究実績の概要 |
糖尿病患者の血中のAGEs(終末糖化産物)が糖尿病合併症リスクを増大させることが注目されている.食品に含まれるAGEs量は調理法により異なる.しかし,食品に含まれるAGEs量が生体にどのような影響を与えるかについては不明な点が多い.本年度は、調理方法の違い(一般食 vs.低AGEs食)において,血中終末糖化産物(AGEs)濃度の影響についてクロスオーバー比較試験を用いて評価・検討した.対象は糖尿病あるいは非糖尿病成人の男女5人(29-65歳)である.除外基準について,1) 肝,腎,心,肺,消化器(胃切除を含む)および代謝系等に重篤な既往のある者,罹患者あるいは異常のある者,その他重篤な疾患に既往,罹患している者,2)喫煙している者,3)アルコール多飲者,4)交代制勤務者、深夜勤務者,5)他の治験あるいは試験に参加している者,6)その他、研究班が本研究の対象者として不適切と判断した者である.低AGEs食を用いた介入プログラムを6日間実施した(1-3日目に基準食を摂取.4日目の朝食に試験食を摂取.5日目にWashout.6日目の朝食に4日目と同様に試験食を摂取).その間,血糖値,インスリンおよび血中AGEs(N-carboxymethyl)lysine:CMLを4日目と6日目に行った.対象者の背景(年齢,性別,既往歴,合併症,アレルギーの有無,身長,体重等)を収集した.結果,血中CMLは食事摂取により増加が見られたものの,その増加量は一般食と低AGEs食で同程度であった.一方,食後2時間の血糖値やインスリンは一般食よりも低AGEs食の方が低かった.
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