食鳥処理過程でカンピロバクター保菌鶏の腸内容物に汚染された鶏肉は、カンピロバクター食中毒の主な感染源となる。従って、養鶏現場にて鶏の保菌実態を詳細に把握し、それを踏まえて養鶏場の清浄化に取り組むことが、本食中毒の発生を抑える上で根本的な対策となる。そこで、本研究は、超高感度な蛍光イムノクロマト法によるカンピロバクター保菌鶏の現場即応型検出法を新たに開発し、それを用いて養鶏場における鶏の保菌実態を把握することを目的としている。 3年間の研究期間の最終年度である今年度は、過去2年間の研究において確立した蛍光イムノクロマト法と鶏糞便前処理法の組み合わせを用いて、5箇所の養鶏場においてカンピロバクターのモニタリング調査を実施した。調査に供したサンプル数は計69検体で鶏の日齢は27~48日齢であった。蛍光イムノクロマト法で調査した結果、カンピロバクター保菌鶏の割合は、約10%であった。また、これらのカンピロバクター陽性となった鶏におけるカンピロバクターの保菌数は、糞便1gあたり最高で10000000cfuであった。カンピロバクター保菌鶏の検出は、農場により偏りがあり、全く保菌鶏が検出されなかった農場も存在した。 また、蛍光イムノクロマト法を用いて、鶏肉におけるカンピロバクターの汚染実態調査も継続して実施した。282検体の市販生鶏肉類を検査した結果、カンピロバクターの汚染率は約26%であった。この結果は、同時に実施した培養法と同程度であった。
|