研究課題
本研究の目的は、国内外の研究機関において得られた最先端の科学データを利用した天文教材の開発と、その教材を用いた学習プログラムを開発することである。平成26年度は、教育学部の学生を対象にした本研究に関する学習プログラムの開発のための調査などに取り組んだ。まず、東京学芸大学教育学部の理科を専攻とする学生117人を対象に、太陽系・地球に関する基本的な知識の有無について調査した。調査結果の2~3例を次に挙げる。地球誕生が何億年前かを正解した学生は全体の74%であり、26%の学生は不正解であった。地球の直径については正解者が30%であり、70%が不正解であった。日周運動について記述式で説明させた質問では、正解者は全体の30%であった。調査の回答者は、高校での地学IとIIをあわせた履修者は全体の1%に満たなかった。これらのことから、理科を専攻とする学生であっても、太陽系や地球に関する地学の基本的な知識を持ち合わせた学生は少ない事が明らかになり、彼らへの基本的知識を習得させるための学習プログラムが必要であることが分かった。次に、東京学芸大学の非理科生138 人及び理科生117 人を対象として月の満ち欠けについての実習を取り入れた授業実践を2時限かけて行い、授業前後での理解度の変化を調査した。その結果、以下(1)~(4)が明らかになった。(1)授業前の調査から,理科生の約 60% がその仕組みを理解していない( 理科生も理解度は低い),(2)授業後には非理科生・理科生ともに65% 以上が満ち欠けの仕組みを理解し、説明が出来るようになった,(3)理解していなかった理由として約30% が「月の満ち欠けの周期、自転・公転周期の関係の理解不足」を挙げた,(4)教員志望の学生に月の満ち欠けの仕組みについて理解させるためには、基本的な知識の伝授と、空間的に視点を切り換えて思考させる経験を積ませることが必要である。
2: おおむね順調に進展している
(1)調査学習プログラムの開発のため、東京学芸大学教育学部の教員志望学生(理科専攻)を対象にした事前調査を行った。調査の結果により、理科を専攻とする学生であっても、太陽系や地球に関する地学の基本的な知識を持ち合わせた学生は少ない事が明らかになり、彼らへの基本的知識を習得させるための学習プログラムが必要であることが分かった。また、同大学の教員志望学生(理科を専攻としない学生)への理科教育に関する調査を行った。調査の結果により、理科を専攻とする学生であっても、太陽系や地球に関する地学の基本的な知識を持ち合わせた学生は少ない事が明らかになり、彼らへの基本的知識を習得させるための学習プログラムが必要であることが分かった。調査の結果により、理科を専攻とする学生であっても、太陽系や地球に関する地学の基本的な知識を持ち合わせた学生は少ない事が明らかになり、彼らへの基本的知識を習得させるための学習プログラムが必要であることが分かった。この結果は、論文としてまとめ、日本科学教育学会誌に掲載された。(2) 以下の天文教材を現在、作成している。*素材①画像及び動画:個々の科学データの高解像度画像と動画を作成する。*素材②解説:素材①の分かり易い解説を各研究者に依頼し作成する。
平成27年度は、次の(1)、(2)の手順で研究を進める。(1)学習プログラムの開発天文教材を用いた学習プログラムを開発する。(2)東京学芸大学における研究及び調査教員を志望する学生の天文分野についての知識は、非常に低いことが報告されている。これまでに下井倉他で行った小学校の教員を志望する学生を対象にした研究によれば、彼らは小学校理科で取り扱う項目について教える自信をもてないことが分かっている。このことから、東京学芸大学で、教員免許法上の教科に関する科目である「初等理科教育法」や「理科研究」の授業などを利用して学生への教育実践も行い、本教材の有効性を検証する。さらに、学校現場における天文分野の学習は、教師にとっては最も学習指導が難しい内容の一つである。現役の小学校教員を対象にした他の調査によると、天文分野の内容で多くの教員が指導上の困難を感じており、その原因の一つは知識不足であるとの報告がある。開発した学習プログラムを応用して、教員免許状更新講習を利用した現職教員に対する教育実践の研究も展開する。
予定していた国際会議への出席が出来なかったため。
平成27年度の国際会議、研究会などで使用する。Webの構築(サーバーの確保、Webのデザイン、作成等)で使用する。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (2件)
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