研究実績の概要 |
①東京学芸大学に在籍する学生を対象にした天体望遠鏡実習の授業実践とその効果の検証 昨年度に引き続き、教員志望の学生(150人)を対象に、口径8cmの屈折式天体望遠鏡の組み立てと操作方法を習得させ、安全な太陽観察の方法を習得させる授業を実践した。操作に十分慣れるよう天体望遠鏡1台につき3~4人を1グループとして行った。太陽の構造及び望遠鏡の取り扱い等についての事前指導を行い、次に各自で操作方法を習得する時間をもうけた。実習後、天体望遠鏡を組み立ててそれを操作し、太陽等の目標物を導入させる実技試験を行った。その結果、受講生全員が合格基準に達した。実習中は、多くの受講生から「太陽の表面の様子を初めて見た。黒点がどんなものかわかった。」等の感想が得られた。教員志望の学生自身に天体望遠鏡の操作方法を習得させ、天体観察を経験させることは、彼らに自然観察の重要性を実体験として認識させるうえで極めて有意義であることが分かった。
②教員志望の学生を対象にした月の満ち欠けについての理解度調査及び「小学校理科単元『月の満ち欠け』の児童への指導法」 全国15大学の教員志望の学生(1,815人)を対象に、小学校理科の重要な単元である月の満ち欠けについての理解度調査を行った。その結果、月の満ち欠けについて理解している学生は僅か19%にとどまり、月の満ち欠けを月食と混同している学生は12%もいることが分かった。彼らに月の満ち欠けを理解させ、教える自信をもたせるためには、大学でどのような授業を行うべきか調査した。東京学芸大学の教員志望の学生を対象に、 (i)基礎知識を習得させ、(ii)月の運動と太陽・地球・月の3天体の位置関係を理解させ、(iii)児童への指導方法を考えさせる、という流れで授業を実践した。その結果、このような授業実践は、受講生の理解度の向上と教える自信の改善に有効であることが分かった。
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