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2014 年度 実施状況報告書

モデルを志向した算数・数学の垂直カリキュラムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 26350188
研究機関横浜国立大学

研究代表者

池田 敏和  横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (70212777)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2019-03-31
キーワードモデル
研究実績の概要

1年目は、モデルに焦点を当てた数学教育の世界的な傾向について分析した.その結果、大きく2つの傾向があることがわかった.一方は,Pollak, Burkhardt, Burghesを中心とした英語圏における実用的傾向で,もう一方は,Freudenthalを中心としたローマ圏における科学-人間的傾向である.実用的な傾向では,実利的,実用的な目標,すなわち,実世界の問題の解決のために算数・数学を用いることができる児童・生徒の能力を全面に出している.一方,科学的-人間的な傾向は,科学としての数学,人間的で教育的な考えに関心をもっている.すなわち,「数学教育は,数学者が導き出した最終的結果を出発点とするのではなく,活動としての数学の中に出発点を見いだすべきである」(Freudenthal, 1968,1973)という考えを基に,科学としての数学とその構造を人間の営みとして導く能力に焦点を当てている.そして,この考えは,Treffers(1987),Streenland(1991),De Lange(1996),Gravemeijer(2007)らによるRME理論として継承されることになる.この歴史的な二つの傾向において,モデルの捉え方が違うことに着目する必要がある.実用的傾向では,現実モデル,数学的モデルといった具合に,算数・数学の世界と算数・数学外の世界を明確に分離し,実世界の問題場面を翻訳したものをモデルと呼んでいるのに対し,科学的-人間的傾向では,モデルを相対的に捉え,数学的表現を可能にするために必要不可欠となる媒介物をモデルとして捉えていることがわかる.両者では共に数学化が強調されているわけだが,前者では,実世界の問題から数学的モデルをつくるための数学化を強調しているのに対し,後者は数学化するために必要不可欠となる媒介としてのモデルを強調している.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

モデルに関わる数学教育の研究について、歴史的な2つの傾向について分析した。一方は,Pollak, Burkhardt, Burghesを中心とした英語圏における実用的傾向で,もう一方は,Freudenthalを中心としたロマンス語圏における科学-人間的傾向である。そして、後者の立場から、伝統的な二分法(現実世界と数学の世界)から脱皮し、複数の世界にモデルをつくる活動が示唆された。この考えは、教材開発、垂直カリキュラムを構想する上で、基本的な考えとなるものである。

今後の研究の推進方策

複数の世界にモデルをつくり、それらを行き来する活動としてこれまで開発された教材を分析し直すことにより、教材の捉え、指導の仕方がどのように変化するのかを分析・考察する。そして、学年進行に伴い児童・生徒の数学的知識が成長する中で、同じ教材がスパイラル的にどのように指導可能になるのか、またその特徴は何なのかを明らかにする。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Applying PISA Ideas to Classroom Teaching of Mathematical Modelling2015

    • 著者名/発表者名
      Toshikazu Ikeda
    • 雑誌名

      Assessing Mathematical Literacy

      巻: なし ページ: 221-238

    • DOI

      10.1007/978-3-319-10121-7_11

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Mathematical Modelling in Japan2015

    • 著者名/発表者名
      Toshikazu Ikeda
    • 雑誌名

      Mathematical Modelling from Theory to Practice

      巻: なし ページ: 83-96

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 学習指導要領算数・数学科改訂に向けての検討課題2014

    • 著者名/発表者名
      金本良通・大久保和義・池田敏和・青山和裕・松嵜昭雄
    • 雑誌名

      日本数学教育学会誌

      巻: 96 ページ: 10-21

  • [学会発表] モデルを志向した数学教育の展開2015

    • 著者名/発表者名
      池田敏和
    • 学会等名
      数学教育学会
    • 発表場所
      明治大学
    • 年月日
      2015-03-22
    • 招待講演
  • [学会発表] スパイラルによる教育課程の一層の推進に向けて2014

    • 著者名/発表者名
      池田敏和
    • 学会等名
      日本数学教育学会
    • 発表場所
      筑波大学
    • 年月日
      2014-06-29
  • [図書] 算数と数学の一貫した指導が学力を向上させる2015

    • 著者名/発表者名
      片桐重男・向山宣義・廣田敬一・山崎憲・上野和彦・茂呂美恵子・青木裕子・高山保子・鎌須賀幹子・池田敏和・鈴木誠・羽住邦男・藤原大樹・傍士輝彦・矢嶋昭雄・山崎浩二
    • 総ページ数
      132
    • 出版者
      学事出版
  • [図書] 数学的思考に基づく教材開発のストラテジー242014

    • 著者名/発表者名
      池田敏和
    • 総ページ数
      140
    • 出版者
      明治図書

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公開日: 2016-05-27   更新日: 2023-03-16  

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