研究実績の概要 |
学習指導要領には、「実感を伴った理解を図る」(小学校)など、実社会・ 実生活との関連の重視が強調されている。しかしながら、天文分野の現象は長大な時間と広大な空間で起きており,日常生活と結びつけにくく,指導が難しい分野である。本研究では,これらの困難を克服するために,実天の観測データに基づいて、より“実天観察”に近づけたシステムの構築を行い,太陽や星の日周運動・年周運動等を効果的に学習するプログラム開発とその検証を行う. 平成28年度は,日本・上越及びチリ・アタカマでのデータを引き続き取得するとともに,webページの整備を行った.さらに,全国10大学の教育学部に在籍する学生述べ1,136名に対し,理解度とともに科学への興味・関心や中学校理科の自信度なども含めた追加調査の結果をまとめた.調査結果からは, 太陽の軌跡の問題に対する正解者は不正解者に比べ,科学への興味・関心,中学理科の自信度が高いこと,真東真西誤答者は正解者に比べ,科学への興味・関心には差はないが中学理科の自信度が低く,真東真西以外の誤答者は正解者と比べ,科学への興味・関心,中学理科の自信度が低いことなどがわかった.また,季節ごとの地球と太陽の位置関係での問題については,「夏と冬の位置が逆(夏冬逆誤答)」という誤答の割合が高かったが,これらと真東真西誤答者について正解者と比べたとき,正解者の方が物理・化学への興味・関心が高いことが判明した.このことが理解度に関わっている可能性が示唆された.
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