研究実績の概要 |
主として次の4つの成果を得た。 1.昨年度までに, GC/Win程度の数学用ソフトであれば, HTML5+JavaScriptによるソフト開発という方法によって十分に開発可能であることを, 問題点の明確化・方法論の明確化・その方法論による解決例の提示と実証実践等による検証によって明らかにした。 2.さらに, GC/html5の機能の改良を行うことによって, コンテンツの組織的な開発とわかりやすいインターフェイスへの改良を行った。 3.授業に向けたコンテンツ開発を行う上で, 生徒の数学的体験を生み出すものとして授業を設計し, そのためのコンテンツ開発を行うことの重要性が明らかになった。特に, その具体的な例として, 数学ソフトの場合には, 実測等における誤差とはちがう性格の誤差として, 四捨五入による誤差がある。たとえば, 三角形の内角の和の測定は, 3つのデータの和であるため, どのような桁表示であっても, ぴったり180°になる確率は3/4であり, それより大きくなる確率, それより小さくなる確率がそれぞれ1/8ある。これを授業の中で生かす上では, 誤差をどのようなものとして扱うかに焦点を当てた授業設計が必要であり, その授業例も例示した。 4.作図ツールを利用した研究授業を, 愛知教育大学附属名古屋中学校, 愛知教育大学附属高等学校, 岡崎市立葵中学校, 川崎市立玉川中学校, 宮崎県日向市立日向中学校などで行い, 実践による検証を深めることができた。それらの研究授業に関しては,愛知教育大学の学部の授業や大学院の授業などで, 教材開発・コンテンツ開発・指導法などのさまざまな観点からの授業分析を行うとともに, その知見を生かしたコンテンツ開発・指導案作成の課題を行った。そのコンテンツ開発・指導案作成等に際しても円滑に利用できたことは, GC/html5がかなり実用的な意味で有効に使えることを実証的にも示していると思われる。
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