研究課題/領域番号 |
26350199
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研究機関 | 拓殖大学 |
研究代表者 |
森 園子 拓殖大学, 政経学部, 教授 (70279686)
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研究分担者 |
喜治 都 玉川大学, 経営学部, 教授 (10214777)
金山 茂雄 拓殖大学, 商学部, 教授 (20224587)
西村 圭一 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (30549358)
二宮 智子 大阪商業大学, 公私立大学の部局等, その他 (50328019)
船倉 武夫 千葉科学大学, 公私立大学の部局等, 教授 (70131620)
田浦 元 拓殖大学, 政経学部, 准教授 (80386474)
服部 哲也 拓殖大学, 政経学部, 教授 (20603468)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 経済・ビジネス分野における数学 / データ分析 / 数理的教育とICT活用 / 生きるための数学 / 社会で必要とされる数学 / 問題解決力 / 数学教育の再構築 / 統計教育 |
研究実績の概要 |
当初,本科研の研究メンバ-を,研究代表者1名,分担者6名,数学教育関係協力者2名,総勢9名で組織していたが,研究を進める過程で,経済学との関連を重視し,経済学関連の研究分担者1名を新たに加えた。総勢10名を研究メンバーとして,再組織した。平成27年度の研究実績の概要を示すと,以下のようである。 ①本研究で明らかにすることの筆頭に挙げた,文系学部におけるデータ分析に必要な数学基礎力の明文化・水準化においては,経済学の大学における教育内容を,ミクロ経済学・マクロ経済学・経済統計とし,その他の分野を,ビジネス,統計学,ICT活用とした。それらの分野に関する数学的内容を収集・分析する方策を検討し,その基準を設けて検討を進めた。その過程で,それらの内容や項目が,現在の数学や統計学の内容とどのように関連しているかを探る方法について検討し,具体的に用語を抽出し体系化を図った。 ②海外調査においては,研究代表者と分担者(1名)が,フランス及びイギリスにおいてその教育制度や教育における実情を訪問調査(教育省,市庁舎,高校,大学等)した。フランスにおいてはBECP及びバカロレア試験制度,イギリスにおいてはBSTT及びGCSE試験制度,大学への申請用件,大学での数学履修の状況等を調査し,日本との比較を検討・考察した。 ③ ①と,昨年度出版したテキストを基に,ICTを活用した教材の開発を検討した。 ④経済・社会分野で活躍するデータアナリスト・数学教育関係者として,数学及び数学教育に造詣の深い数学教育の研究者に発表を依頼した。国際比較から見た日本の数学教育の現状,教育方法論に関する大きな知見が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度においては,5回のミーティング,海外調査(フランス,イギリス),学会におけるオーガナイズドセッションの企画・発表等を実施した。海外調査は次年度にも継続される。研究計画に沿って研究実施項目を記述すると,以下のようである。 ①各分野(ミクロ統計,マクロ経済学,経済統計,ビジネス,統計学,ICT活用等)に含まれるデータ分析に関する数学的内容を収集・分析する方策が検討提案された。この方策を基に,全員で検討・考察しながら,各々の分野の内容や項目が,統計学及び数学における,どの内容に対応しているかを関連・対応付けるための作業を進めた。 ②海外調査においては,イギリスとフランスをその対象とし,フランスにおいては教育省,市庁舎,リセ,コレージュを,イギリスにおいてはグラマースクール及び大学を訪問調査し,数学がどのように位置付けられているか,教育の実情を聞き取り調査した。本研究内容を,国内外に情報発信するために立ち上げたサーバーが,海外からの閲覧に非常に有効であった。 ③数学教育分野で活躍する研究者を招待し,発表・討議を行った。国際比較から見た日本の数学教育の現状,教育方法論に関する大きな知見が得られた。さらに,学会のオーガナイズドセッションを本科研の内容をテーマとして設け,発表を行った。その討議事項をまとめ,多くの知見を得た。文系学部内外の,数理的な教育の必要性と有用性を訴えることができた。 ④経済・ビジネスにおけるデータ分析に関してプロセスに注目したテキスト(「文科系学生のためのデータ分析とICT活用」森園子・二宮智子著,2015,共立出版)を基に,統計教育用ソフト(Excel,SPSS,Jump等)の比較検討を進めた。さらに,数理的な活動を行うための教材・話題を検討,実施した。今後,このテキストを基に,教材開発をより深める予定。
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今後の研究の推進方策 |
研究内容の内,継続事項となっている調査・研究を含め,さらに研究を進める。具体的には以下のようである。 ①海外調査を継続し,資料を収集,本科研のテーマである文系学部に必要とされる数学の内容が海外の教育課程でどのように位置付け扱われているか,その実情を探る。27年度における調査結果と比較し,日本との関連から日本のあるべき方向性を検討する。 ②各分野(ミクロ経済,マクロ経済学,経済統計,ビジネス,統計学,ICT活用等)に関する大学教科書,一般書,その他の資料等を,本年度検討した基準に沿って調査を続け,その中に含まれるデータ分析に関する数学的内容を収集する。これを基に,全体会を開き全員で検討・考察しながら,それらの項目や内容が,統計学及び数学におけるどの内容に対応しているかを関連・対応付ける。その上で,それらの項目や内容を数理的な観点から見て,レベル別に階層構造を持つような系統図を構成・作成する。 ③ ②を基に,順次性を持ち体系化された学習内容・体系を構築し,初年度に作成・出版したテキストを基に,さらに進化させたテキストを事例的に作成する。さらに,現在の大学教育の中で,数学基礎教育及び,数理・統計教育及び,ICTスキル育成のための内容を,カリキュラム上でどのように位置付けるかを,全員で検討する。 ④経済・社会分野で活躍するデータアナリスト・数学教育者を招待し,講演・討議を行う。その発表内容や討議事項をまとめる。 ⑤初年度に導入した統計教育用ソフト(Excel,SPSS,Jump等)を比較検討し,教育的な有効性を探る予定。さらにデータ分析の内容をICT上でビジュアルに理解できる,または,大量のデータを取り扱う,パワーユーザーとしての技術力を高めるための教材を開発する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額として,162,831円が計上された。その理由として,平成27年度の研究費の内,海外調査時の資料翻訳料として20万円を計上していたが,この翻訳が進行中であり,中途になっていることが主に挙げられる。時期的に,入試業務その他と資料整理・翻訳が重なったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度における次年度使用額は,海外調査資料の整理・翻訳を早急に推し進めることで使用する。また,引き続き海外調査を実施予定である。
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