研究課題/領域番号 |
26350201
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
藤 秀実 金沢工業大学, 工学部, 教授 (00440488)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 飛行機開発 / ジェットエンジン / 先尾翼 / 模型飛行機 / 大学院教育 / 空気力学 / 構造力学 / 制御工学 |
研究実績の概要 |
金沢工業大学大学院では講義・演習・実験・発表を組み合わせて総合力の醸成を図る目的のモジュール統合科目を導入している。その科目の一つの航空機設計開発統合特論では、ジェットエンジン付きの模型飛行機を題材として、航空機設計開発プロセスの授業体験を通して、高度な専門教育における効率のよい人材育成を目指し、理論的知識や能力を基礎として学生が主体的に取り組める教育プログラムの構築を行っている。平成26年度には高度な安定性に関する技術が要求される先尾翼型模型飛行機を設計するとともに、胴体、翼の一部を製作した。授業では、設計・製作の基本理論は教員が教え、それを応用して学生自らが設計・製作した。平成27年度はまず第一次走行実験を三重県の木津フライングクラブ専用飛行場で行った。走行実験の結果、主脚、主輪の剛性が不足し、着陸時に破損の危険があることが判明した。このため主脚及び主輪の剛性を増す追加設計、製作を実施した。これと並行して模型飛行機の離陸、巡航、着陸の全ての飛行モードで安定性が得られるかの検討をCFD及び風洞実験で行った。これらの結果を機体にフィードバックし、第一次飛行実験を笠岡ふれあい空港にて実施した。第一次飛行実験において、主脚の剛性問題は解決したが、走行実験時より前輪に荷重が掛かる構造となったため、前輪及び前脚が荷重に耐えられず壊れた。この結果を受け、前輪の剛性補強のため、前輪中にゴムリングを挿入する追加工を、また前脚を胴体に取り付ける部分の補強を行った。これらの効果を確認するため第二次の走行実験を行った。この結果前輪の強度も十分にあることが確認できた。模型飛行機の脚部設計は十分な資料が乏しく試行錯誤となり、手間取ったが、飛行実験が行えるまでに仕上げることができた。また脚部についての設計データの蓄積もできた。以上より当初計画より多少の遅れはあるが、本研究の成果は達成できると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
・技術的に設計データが少ない先尾翼を採用したことで模型飛行機の安定性確保が当初予想より難しくなった。このため当初考えていなかった先尾翼の構造に可変機構を導入する必要が生じた。この影響で3カ月の遅れを生じた。 ・模型飛行機の飛行実験の全範囲で安定的に飛行できることを風洞実験或いはCFDで事前に確認しておく必要があるが、風洞実験装置の能力不足或いはCFDの容量不足のため、確認に当初予定以上の時間がかかった。このため3か月の遅れを生じた。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画していた自律飛行機の研究を削除し、先尾翼模型飛行機の飛行実験に注力する。飛行実験には予期せぬリスクがあるため、最低2回の飛行実験を計画し、7月に初回の飛行実験を行い、問題点・改良点等を洗い出す。その結果をレビューしもし必要であれば改良設計、製作等を実施し11月に改良実験を行う計画である。飛行実験で取得したデータを解析し、先尾翼型ジェットエンジン駆動模型飛行機の設計方法の妥当性を確認すると共に、その設計方法に貢献できたらと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度2回飛行実験を計画しており、当初計画より使用予算が増加する。その費用に充当する。
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次年度使用額の使用計画 |
増加した飛行データ収録を行うUSB購入費用に充当する。
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