研究課題/領域番号 |
26350203
|
研究機関 | 岐阜聖徳学園大学 |
研究代表者 |
伊藤 敏 岐阜聖徳学園大学, 経済情報学部, 教授 (80130946)
|
研究分担者 |
鷲野 嘉映 岐阜聖徳学園大学短期大学部, その他部局等, 教授 (90220855)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 脈波 / 可視化 / 再サンプリング / ピーク検出 / フーリエ変換 |
研究実績の概要 |
学習者の指先から、拍動に伴う血液量の増減をUSBカメラで用いて検出し、脈波として表示し、数値化するシステムを開発した。本年度はその測定システムの拡充として、1.露出した皮膚表面から非接触で脈波を検出するシステムを作成する。 2.USBカメラの開口部に指を置くことで拍動を取得する既存のシステムが出す数値データを処理して「観察する」・「計算する」・「処理する」などの教材システムを作成し、実践で検証する。の目標を掲げた。 1の目標は、OpenCVライブラリを用いて、顔認識をし、認識した顔部分の画素を取得し積算することで、非接触での脈波観察を可能にした。常に安定した脈波を得ることが困難であり、脈波を可視化する点は達成できたが、後の処理であるピーク検出とピーク間隔の周波数解析に耐えうるデータを安定して得るにはいたっていない。原因は顔が動くことに伴う変動を排除して補正するにはいたっていないからである。 2の目標である接触法の数値データ処理に関しては、安定したデータが得られており、得られたデータから、1.表計算ソフトでデータをグラフ化する、2.ピークの時間を表計算ソフト利用により求める、3.ピーク間隔を後の解析処理が可能なように再サンプリングする、4.再サンプリングされたデータをフーリエ変換する の処理をする教材を作成した。その結果は「USBカメラによる脈波計測と周波数解析」としてまとめて計測制御学会教育工学会論文誌へ投稿中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
USBカメラを用いた拍動の可視化教材作成の目的で、接触法(指をUSBカメラの開口部に置く方法)による拍動検出表示および排出されたデータのグラフ表示、ピーク間隔の計測、周波数解析のためのピーク間隔の再サンプリング、フーリエ変換による周波数解析の教材作成は順調に進んでいる。データのグラフ表示とグラフ上でのピーク検出に関しては中等教育機関での10名から30名規模での複数回の実践教育を実践し、実践用の教材作成を行った。さらにピーク間隔の自動検出に関しては高等学校教諭対象および大学生対象に少人数の実践活動を行い、そのときの実践協力者の意見を参考にしながらドキュメントの作成を進めている。再サンプリングとフーリエ変換教材は数名の大学生実験協力者とともに実践中であり、教材のわかりにくい点などの見直しを進めている。ほぼ該当年度での目標を達成している。 非接触法での脈波表示教材に関しては、脈波を表示することには成功しているが、得られたデータが数値処理に耐えうるほどの精度で得ることができていない。原因は顔(頭部)の微妙な動きが雑音として混入し、基線が大きく変動する現象を抑える方法が見つからないことである。非接触法による脈波検出に関しては教材としていまだ達成されていない。
|
今後の研究の推進方策 |
接触法による脈波検出は、予定通りに進んでいるので、得られたデータが自律神経機能評価に利用可能かどうかの評価をすでに開発済みの額脈波計測器と併用して、同時計測を行い、得られたデータの検証を行う。さらにUSBカメラによるデータから自律神経機能評価を行った場合の評価値の比較検証を行う。 非接触法の基線変動および雑音混入の除去に関しては、引き続き基線・雑音除去のアルゴリズムを探求する。さらに、USBカメラを頭部と独立して設置していたが、頭部と連動して動く配置にすることを試みる。すなわち、実験協力者の負担にならないように、頭部にUSBカメラを保持する軽量な持具を作成して試みる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
非接触法での脈波検出が基線・雑音除去の有効な方法が見つからず、そのための実践に要するコンピュータなどの費用が未執行であった。
|
次年度使用額の使用計画 |
頭部とUSBカメラを独立させる方法だけでなく、USBカメラを頭部につなげる持具の開発を計画している。その開発のために、汎用製品を中心に持具に利用できるものを調査利用し、その調達のために使用予定である。実践に利用するコンピュータなどのも使用予定である。
|