本研究では、専門英語教育 (ESP)のアプローチを用い、薬学系の大学生に指導すべき専門用語を収集・精査し、①専門用語、②半専門用語、③一般専門用語の3種に分類した語彙教材を開発した。最終年度である平成28年度は、前年度から引き続き教材作成の作業を進め、イラストおよび音声ファイルを完成させた。②半専門用語に関しては、多義語の意味の整理の追加作業が必要となり、それに従い、例文作成の作業も行った。さらに、平成28年4月の段階で完成していた①と②の教材を前期と後期の授業で実際に利用することにより教材の効果の検証を行った。 まず、①専門用語のAffix(接頭辞・接尾辞)に基づいた教材では、既習と未習の単語を使ってAffixの習得に関する調査を行った。その結果、Affixの知識があれば、未習の単語であっても意味を類推することができるため、Affixの知識を学ぶことは語彙習得において、有効な手段であることが確認できた。 次に、③一般専門用語の教材の検証では、授業開始直後と学期末で行った単語の意味の習得を測るプレ・ポストテストの結果で有意差があり、一定の学習効果が認められた。しかし、例文中に用いられる多義語である②半専門用語の習得が難しいことも散見した。そこで、②半専門用語の単語と例文リストにさらに詳しい意味分類を追加し、新たに例文も作成する作業を追加し、平成28年度後期に完成させた。 また、①専門用語と③一般専門用語を授業で指導するにあたり、自主学習の手段として単語学習無料アプリ2種を試験的に導入した。受講生は任意でアプリを学習に利用することとしたが、一部の受講生は頻繁に利用しており、学期末にアンケートを用いて利用頻度とアプリの有用性に関する意識調査を行った。 これらの研究成果の一部は、平成28年度薬学教育学会や薬学会等で発表し、また大阪薬科大学紀要に研究論文として発表した。
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