研究課題/領域番号 |
26350210
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研究機関 | 豊田工業高等専門学校 |
研究代表者 |
杉浦 藤虎 豊田工業高等専門学校, 電気・電子システム工学科, 教授 (70206407)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 工学教育 / 創造性教育 / 高等専門学校 / 実践教育 / ものづくり |
研究実績の概要 |
本年度はまず,ロボットの高性能化を図った。ロボカップの国内・世界大会でその性能を評価した結果,不十分であったため,制御パラメータを自動調整するためのソフトウェアの開発と新型ロボットの開発を行った。 制御パラメータはロボットをフィールド上で走らせ,得られた電流,電圧パラメータ等から算出した。新型ロボットは従来,30Wモータを駆動輪に使用していたが,それを50Wモータに変えることで高出力化を図った。制御回路はそのまま使用した。本年度から,世界大会へはチーム論文のピアレビュー形式による厳密な査読を経て出場資格が決まるようになり,論文が受理された結果,出場資格を得るに至った。 また,出前授業用サッカーロボットシステムの改良を行った。現在,校外で実施する,全日(および前日)を要する大がかりな実演活動は,実際のロボカップ競技と同じく,フィールド上空にカメラを設置し,画像サーバを用いて行っている。しかし,天井カメラの設置とサーバのセットアップに手間と時間(最低2時間の調整)が必要となる。一方,小中学校等で行う場合には,短時間で準備し,効果的かつアピール度の高い実演が求められる。そこで本年度は,画像サーバを用いず,簡単なGUIアプリケーションのみで実施可能な,小規模向けかつ効果が期待できる実演プログラムの開発を行った。コントローラのボタンで〇や△,□,あるいは8の字状軌跡を描いて自動移動するよう改良した。その結果,小中学生あるいは保護者からは大変好評を得た。 2015年度は以下の会場で,計10回の出前授業を行った。 とよた科学体験(豊田市),名古屋市立豊が丘小学校,デジタルコンテンツ博覧会NAGOYA(名古屋市),Tech Biz Expo 2015(名古屋市),豊田市立梅坪台中学校(夏・秋),とよたものづくりフェスタ2015(豊田市),刈谷市立住吉小学校,第7回よっていきん祭(豊田市),豊橋技術科学大学
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ロボットの高性能化についてはまだ十分と言える状況ではないが,現時点で50Wモータ搭載ロボットの改良と,さらに高出力な70Wモータを搭載したロボットの試作を行い,今後見込まれる競技フィールドの拡大化への対応について調査中である。 コンピュータと人の対戦型ロボットサッカーシステムは稼働し,好評を得ている。しかし,現在は1対1という対戦形式でしか行えていない。これはロボカップのシステムをそのまま流用しているためであり,送信機が2台しかないことに因る。ロボカップでは送信機1台で複数台ロボットに同時送信しているが,実演では一人に一台のロボットを操縦してもらう必要があるため,人チームは操縦者ごとに無線が必要となる。この問題を解決するには,ロボカップシステムとは別に専用のシステムを構築しなければならず,新規の開発(大がかりな修正)が必要である。今後の発展を踏まえ,策を検討中である。 出前授業は,毎年継続的に呼ばれるようになり,順調に実施できていると言える
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今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗状況を踏まえ,新型ロボットとして70Wモータ搭載ロボットの有効性を確認する。そのため今後は耐久性能や走行性能の評価,および構造的な問題の洗い出しを行う。さらに70Wモータを搭載したロボットは未だ世界のどのチームも作製しておらず,世界大会でどの程度有効になるか,どれくらい注目されるか意見交換を行う予定である。 また現在,ロボットが自動で○や□,8の字状軌跡を描くというモーションプログラムを,二台以上のロボットがシンクロして動くように改良する。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に発注依頼した物品の金額がわずかに安価となったために発生した
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次年度使用額の使用計画 |
この金額は,本年度の物品費とともにロボットの製作材料費に充当される
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