研究課題/領域番号 |
26350213
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研究機関 | 大阪府立大学工業高等専門学校 |
研究代表者 |
北野 健一 大阪府立大学工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (20234263)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アカデミック・ポートフォリオ / ティーチング・ポートフォリオ / ファカルティ・ディベロップメント / 高等専門学校 / ワークショップ / メンター / メンティー / メンタリング |
研究実績の概要 |
平成27年度は本校を会場としてティーチング・ポートフォリオ(TP)作成ワークショップ(WS)を2回(参加者:学内1名、学外11名)、TP作成長期コースを1回(参加者:学内1名)、アカデミック・ポートフォリオ(AP)作成WSを2回(参加者:学内3名、学外3名)開催した。これによって、大阪府立大学工業高等専門学校では常勤教員70名中52名がTPを作成し、約7割の教員がTPを執筆した高等教育機関となった。また、APについては常勤教員70名中11名が作成している。 また、本校では学外からも作成者を受け入れており、2016年3月末現在、本校におけるAP作成者は学内外あわせて45名、TP作成者は学内外あわせて127名となった。現在、日本国内におけるAPの作成者は約120名、TPの作成者は約600名と推測されており、日本国内におけるAP作成者の約4割、TP作成者の約2割が本校でAP/TPを作成していることになり、本校は「日本におけるAP/TPのメッカ」としての役割を十分果たしているといえる。 また、AP/TPを普及するために、学会等において周知を行っている。平成27年度は、日本高専学会年会講演会等において、AP/TPをはじめとする各種ポートフォリオについて講演を行った。 AP/TPを正しく導入するには構成員の正しい理解が必要である。よって、大学等から依頼があれば、AP/TPについての正しい情報をFD講演会等の形で周知したり、ワークショップ開催に向けた相談に乗るようにしている。平成27年度は2大学1高専から講演の依頼があった。また、4大学からワークショップ開催にあたって事前相談があり、開催に向けた支援を行った。さらにワークショップ当日はスーパーバイザー・メンターとして支援することで、大学・学部等の組織的な導入を支援した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は、本校を会場として、アカデミック・ポートフォリオ(AP)作成ワークショップ(WS)を2回、ティーチング・ポートフォリオ(TP)作成ワークショップ(WS)を2回開催することができた。これによって、本校でのAP作成者は学内外あわせて45名、TP作成者は学内外あわせて127名となっており、全国のAP作成者のうち約4割、TP作成者のうち約2割が本校で作成していることになる。本校はまさに「日本におけるAP/TPのメッカ」となっている。 また、AP/TP作成WS以外に、スタッフ・ポートフォリオ(SP)作成WS、TP作成長期コースも開催している。 高専教員と大学教員の事後アンケートの結果を用いて、TP作成の効果およびその継続性について考察した。結果,TP作成の効果として考えられる12項目のうち,最大の特徴である「内省」をはじめ,「俯瞰」,「理念の明確さ」,「理念と実践の整合性」の4項目において,効果が継続してみられ,これらの効果は,高専教員と大学教員で差がないことを明らかにした.一方,「実践の内容変更」,「教員としてのQOL」,および「教育に関わる自身の行動」,「教育を受けた学生の変化」について,高専教員と大学教員の平均値の差が5%水準で有意となった.これらの結果より,高専教員に比べ大学教員がより自由度が高いこと,および高専教員がTP作成により,教育の責務を肯定的にとらえるとともに,その重要性を再認識していることを初めて明らかにした。この成果は所定の査読を経て、日本高専学会誌第20巻第3号(平成27年7月発行)に論文として掲載された。 以上の理由により、「(2)おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
2012年3月、国立高専機構は「モデルコアカリキュラム(試案)」を公表した。これは、教育機関がその設置目的に応じて教育研究指導を遂行していくために必要な教育内容の体系(カリキュラム)の中核(コア)部分をモデル(手本・模範)として示していこうとするものである。この中で、「第8章 モデルコアカリキュラムの質保証機能を担保するための取組み」の一つとして、「ティーチング・ポートフォリオ」が取り上げられており、高専では、今後さらに注目を集めると思われる。このような情勢において、そのニーズに応えるため、教育・学習成果の評価の厳密化と効率化を進めるために使われる評価ツールであるルーブリックについての理解を深めるセミナーを開催する。 平成28年度もAP/TP作成WSを3回開催する予定である。AP/TP作成WSは3回のうち2回を学内で開催する。 それと並行して、引き続き、高専等への普及活動に努める。AP/TPを正しく導入するには構成員の正しい理解が必要である。そこで、AP/TPについての正しい情報を発信するとともに、学協会にも積極的に参加し、成果発表に務める。 なお、日本の高等教育機関に所属する教員のAPを掲載した事例集はまだ出版されていないため、この書籍について、早急に執筆を進める。 さらにAP執筆による効果を検証する研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初AP/TP作成ワークショップを校内2回、校外1回、計3回開催する予定であったが、校内2回分しか開催できなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
消耗品(総計 130千円)・・・ワークショップ開催にあたり、必要となる文房具、インクカートリッジ等に30千円、研究書籍の購入に100千円を予定している。 国内旅費 (総計 590千円)・・・外部メンターの招聘旅費として120千円を予定している。本校以外の教育機関から本校教員にメンター依頼があった場合の出張旅費として180千円、学協会における成果発表の旅費として240千円、セミナー講演者の招聘旅費として、50千円を予定している。 人件費・謝金 (総計 385千円)・・・客観性を保つ観点から外部メンターは重要である。外部メンターを招聘した際の謝礼として、340千円、セミナー講演者の謝金として45千円を予定している。その他 (総計 385千円)・・・研究成果を積極的に学会誌等に投稿する際の費用や別刷代として200千円、Webページ作成費用として100千円、広報パンフレットの印刷費として85千円を予定している。
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