| 研究課題/領域番号 |
26350229
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| 研究機関 | 福井大学 |
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研究代表者 |
西沢 徹 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成), 准教授 (80414382)
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| 研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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| キーワード | アブラナ / 理科教育 / 学校教育 / 理科教材 / 生物教材 / 環境調査 / 分子マーカー / DNA多型 |
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| 研究実績の概要 |
本研究の対象植物は，アブラナ，セイヨウアブラナ，及びカラシナの3種である。形態から容易に識別が可能なカラシナを除くと，アブラナとセイヨウアブラナの中には，形態的に中間型を示す個体もあり，この2種の識別が困難な場合がある。これまでに，葉緑体DNA多型による種判別の可能性について検討を行うとともに，今年度（H28年度）からは核DNA多型を利用した種判別の可能性についても検討を開始した。
H27年度から，葉緑体DNA多型を捕捉するために，SSCP法による変異検出法を導入した。Nishizawa & Watano (J. Phytogeogr. Taxon 48: 63-66. 2000)の葉緑体DNA 用のユニバーサルプライマーは，アブラナ属でも汎用可能なことが確認できている。一方，SSCP法は，確実な再現性を得るためには安定した泳動条件を厳密に設定することが必要であり，現在もこの泳動条件の検討を進めている段階である。
さらに，核DNAマーカーによる変異検出並びに種判別の可能性を検討するために，Nishizawa et al., (American Journal of Botany: e94-e96. 2012)でスクリーニングした核DNAのコーディング領域における変異の中から，本研究の対象種である3種を識別するために汎用可能な遺伝子座の選抜を開始した。
H27年度から，試料採集を行う対象を，国内の広い範囲から福井市近郊の複数集団へと方針を修正している。H28年度も引き続いて周辺からの試料採集を行うとともに，これに伴い，福井市周辺から採取した試料からDNA抽出を平行して進めた。これらのDNA試料は，最終年度（H29年度）に，変異を捕捉することができた遺伝子座の汎用性確認に活用する予定である。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Nishizawa & Watano (J. Phytogeogr. Taxon 48: 63-66. 2000)の葉緑体DNA用のユニバーサルプライマーを用いて，葉緑体DNAの遺伝子間領域を増幅し，得られたPCR産物でSSCP法による変異検出の条件検討を行っている。変異の検出におけるSSCP法の再現性は，電気泳動時の温度，ゲル強度並びにゲル中のグリセロール濃度に大きく依存することから，これらの条件を厳密に設定する必要がある。これらの条件検討を進めているが，まだ安定して変異を検出できる条件を設定する段階に至っていない。
また，昨年度と同様に，変異検出のための条件検討に注力する方針に転換したことから，国内の広い範囲を対象とする集団からの試料採取は見送り，福井市近郊の集団から対象種の試料採取を行い，対象とする個体群数の確保に努めた。
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| 今後の研究の推進方策 |
SSCP法による安定した条件設定を完了させ，葉緑体DNA多型による種判別の可能性について，これまでに採取した試料を基に検証する。さらに，既存のマーカー候補遺伝子情報（Nishizawa et al., 2012）を活用して，核DNAマーカーを用いた判別系の確立についても検討を行う。
平成29年度は本研究の最終年度にあたることから，本研究の成果を基に，自然集団のアブラナ類を対象とした「菜の花調査」の実現可能性について，方策と課題について考察を行い，本研究の取り纏めを行う。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
昨年度からマーカー開発に注力する方針に転換したことに伴い，対象種の試料採取は捕捉した変異や設定した実験条件（SSCP法の泳動条件）の確認に使用できる範囲に留めている。このため，国内の広い範囲を対象とする集団からの試料採取は見送り，福井市近郊の集団を中心に試料採取を行ったことから，県外等への遠方の出張旅費の執行が生じなかった。
これに伴って，採取試料の保管スペースが既存の設備でカバーできたことから，当該年度に購入を予定していた，大型デシケーターの購入を翌年度とすることにした。
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| 次年度使用額の使用計画 |
最終年度となる平成29年度には，前年度において整備を持ち越した，試料保管用の大型デシケーターの購入を行う。また，本研究において当初購入を計画していた電源装置は，代表者所属研究室において余剰装置があったことから，これまではこれを活用して実験を行ってきた。しかしその後，研究室の人員の異動や学生の研究テーマの変遷によって余剰環境が変化しつつある。そこで最終年度に，当初の計画に有った電源装置の購入を行い，本研究の推進環境の整備に有効活用する予定である。
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| 備考 |
「ひらめき☆ときめきサイエンス～ようこそ大学の研究室へ～ＫＡＫＥＮＨＩ」の一環として，「理科と数学の活用力を研くサイエンスキャンプ」を平成28年7月30日～31日に福井大学文京キャンパスおよび芦原青年の家において実施した。対象は小学生および中学生であり，生物，数学，言語活動と科学の３分野でプログラムを設定し，その中の生物プログラム「花のつくりから読み解く生物の多様性と共通性」を担当した。
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