研究課題/領域番号 |
26350230
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
上里 正男 山梨大学, 総合研究部, 教授 (80193788)
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研究分担者 |
松森 靖夫 山梨大学, 総合研究部, 教授 (40240866)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 科学技術教育 / 学力 / 教育課程 / 比較 |
研究実績の概要 |
小学校における「世界の発見」科は、コンピューターの基礎の機能を発見し利用し、情報学とインターネットの資格を得ることが目的に加えられる。「実験科学・技術」科では、技術教育に関する教育内容は、技術的物品の、電気回路、電気の安全、てこと秤と釣り合い、機構、運動の伝達である。1995年に「科学・技術」科の教育内容に含まれた情報学は、2008年には含まれない。小学校のテクノロジー(technologie)教育の特徴は、情報学の内容の分離であるといえる。 コレージュにおける「実験科学・技術」科の教科の目的は、科学技術教養の獲得である。その第1学年の「実験科学と技術」科の科目「技術」科では、「輸送手段」の領域が設定され、教育内容は、技術的な機能と基礎(てこの原理、歯車による動きの伝達装置と変換、歯車装置など)と利用されるエネルギー及び材料の特性における技術的変革の知識の原理との結合である。第2学年では、応用の領域として「住環境と建設」の領域が設定され、教育内容は、エネルギーと伝統的な材料、あるいは技術革新においての基礎と技術革新に関係づけられる原理のアプローチである。第3学年は、応用の領域として「快適とホーム・インテリジェント・システム」の領域が設定され、教育内容は、インテリア設備(家庭用電化製品の設備など)あるいはエクステリアの設備(照明、風力ポンプ、太陽施設など)、情報化と日常のシステムの自動化(暖房、照明など)である。第4学年の教科「技術」科では、特にプロジェクトに結びついたデジタル・メデアの生産のための情報及びコミュニケーショーンの合理的利用と技術の自律性に関して能力を広げる。「実験科学・技術」科の科目「技術」科は、科学の方法と関連づけられ、教科「技術」科は、プロジェクトによる技術的問題解決と関連づけられる特徴がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.一般的には科学の方法はアナリシス(Analysis:分析)、技術の方法はシンセシス(Synthesis:総合)が主体になるといわれているが、フランスでは科学教育と技術教育を関連させる方法論として、教育課程(カリキュラム)開発で採用されていた。また、フランスの各教科では、教養につながり、教育課程を貫く「科学」に基礎を置いた科学の教育という基本理念のもと、フランス独自の科学の認識論による科学的概念によって教育課程開発が行われていた。この点は、日本の科学技術教育における独自の科学的概念を教養とリテラシーと学力との関係として構築し、それを基盤とした教育課程開発に多くの示唆を与える。 2.ジョスパン法に代わる保守政権下のフィヨン法において「PISA型学力」の導入である「知識及びコンピテンスの共通基礎」が制定されたが、科学の科学的客観的「知識」を伝達してエリートを養成するという伝統的中等教育と、EUのキー・コンピテンシーの影響を受けた「PISA型学力」の導入の対立があった。(1)との関係では、「科学」と「PISA型学力」導入後の「科学的概念」との関係が問われていた。 3.フランスの小学校の「世界の発見」科と「実験科学・技術」科教育における子どもの生活概念と科学的概念との関連、中学校(コレージュ)で新設された教科「実験科学・技術」科教育の教科目「技術Technique」科教育と教科「技術Technologie」における科学的概念の特質、STEM教育としての数学科・理科・技術科の各教科の科学的概念の特質、高校(リセ)の普通教育課程に新設された「エンジニア科学」おける科学的概念の特質、これら関連を、新学習指導要領と教科書の調査と分析を通して明らかにできた。
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今後の研究の推進方策 |
テクノロジー教育が「科学の基礎」と「テクノロジーの基礎」が対立した過去からすると、一般教養(culture generale)、科学的教養(culture scientifique)、技術的教養(culture technique)は、現代的関連問題になる。また、技術的教養では、technique、technologie、エンジニア科学との関連が現代的問題となってくる。
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次年度使用額が生じた理由 |
フランスにおけるテロのため、次年度に調査を計画している。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年の夏に訪仏の予定。
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