研究課題/領域番号 |
26350234
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
種村 雅子 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (30263354)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | グローバル人材 / 科学英語 / 小学校教員養成 / 物理教育 |
研究実績の概要 |
近年のグローバル化に対応し、国際競争に勝っていくためには、グローバル人材の育成が急務となっている。しかし、日本はアジア諸国と比べても英語の使える人材は少ない。小学校では英語活動が始まったことに注目し、小学校で使える科学英語教材を開発することを目的としている。この教材は物理の実験をしながら、児童が主体的に学ぶことができるアクティブラーニングによる学習を取り入れている。さらに、科学英語を教えることができる教員養成プログラムを構築することも目的としている。平成26年度は小学校理科6年の「電気を蓄える」単元の教材として、構造が簡単で原理がわかりやすいコンデンサーを開発し、フィンランドやスウェーデン、そして日本の小学校で教育実践した。 平成27年度はストローロケットを作製し、反発係数や運動量保存の法則といった高校物理の内容を小学生にもわかるように、体験的に学ぶ教材を開発した。この教材を使って、フィンランドとオーストリアの小中学校で教育実践を行った。やや難しい内容ではあったが、ストローが予想以上に高く跳ねる教材は児童・生徒の興味を十分に引き出すことができた。そして、小学生は主体的に実験をしたり、グラフを描いたりして、科学的な活動することで、設定した教育目標は達成できていた。一方で教員を目指す学生の中でも文系の学生は、実験教材の科学的な原理の理解に興味を示さず、実験のインパクトの強さにばかり興味を持つ傾向にあることがわかった。大学生への物理教育には問題点があることが見えてきた。今後は科学英語教材はもう少し内容的には簡単に理解できるものを設定したほうがよいことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は物理実験による科学英語教材を新たに開発し、教育実践することができた。小学生にも簡単に作製可能でインパクトのある実験教材であり、原理は高校レベルであるが、小学生でも直感的な理解が可能であることがわかった。 教員養成プログラムとして、北欧実習が単位化されたこともあり、科学英語を授業で使う学生の確保が容易になった。理系の学生と文系の学生の協同により、物理が得意な学生と英語が得意な学生が組むことで、海外の小学生に対しても伝わる授業ができた。当初の計画通りに研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
28年度はすでに北欧実習の参加志望者の募集を行った。物理による授業を希望する学生が多いので、予定通りに科学英語教材を用いた教育実践ができる見込みである。教材開発については、科学英語教材開発を卒業論文のテーマとする学生と協力して行う。また、日本での教育実践校はまだ未定であるが、北欧実習に参加した卒業生が小学校に勤務しているので、協力をお願いする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
物理教育国際会議の開催地が北京と近かったこともあり、予定していたよりも旅費の支出が少なく、次年度に繰り越すことにした。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度の繰越額と今年度分を合算して、今年度に支出する予定である。今年後は物理教育国際会議の開催地がブラジルと遠方であり、旅費が高くなることが見込まれている。また、東アジア理科教育国際会議が東京で開催されるので、小中学校教員を目指す学生を同行する予定である。学生のうちから理科教育の研究者が集まる国際会議に参加することで、研究し続ける教員として成長することを期待している。
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