研究課題/領域番号 |
26350238
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
渡邉 重義 熊本大学, 教育学部, 准教授 (00230962)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | プロセス・スキル / 鍵教材 / カリキュラム・マップ / 問題解決 / 教材・教具 / 理科カリキュラム |
研究実績の概要 |
平成27年度は,1)基本的なプロセス・スキルの抽出,2)プロセス・スキルを接点にしたカリキュラム・マップの作成に取り組んだ。1)については、SAPAのプロセス・スキルを基本として,長谷川ら(2013)の「探究の技法」を参考にしながら,科学的な問題解決のスキル(案)を考案した。理科の問題解決学習に関連したスキルとして,最初にⅠ.科学的な思考に関連したスキル,Ⅱ.観察・実験に関連したスキル,Ⅲ.科学的なコミュニケーションに関連したスキル,という3つのカテゴリーを設けた。次に問題解決のプロセスを基本として,Ⅰには①問題を発見する/把握する,②仮説を設定する,③計画する,④予想する,⑤データを分析する/解釈する,⑥考察する,Ⅱには⑦観察する,⑧実験する.Ⅲには⑨伝達する,⑩評価する,という合計10のスキルを提示し,そのスキルの下に,条件を制御する,比較・分類する,測定する,数値を用いる等の基本的なスキルを選択して配置した。下位のスキルの中には,①~⑩の複数のスキルに関係するものがある。2)については,「測定する」(Ⅱ⑧)を事例にして,小・中学校理科におけるカリキュラム・マップを作成し,a.栽培・飼育や継続観察等との関係で小学3・4年において長さ(大きさ)や温度を測定する機会が多いこと,条件設定のための測定と結果の測定があること,b.複数の学年で温度の測定が行われるが,電流,体積,質量,方位の測定も各概念の系統性に結び付く鍵になること,c.測定には対象に応じた器具が必要になるため,「ばねばかり」「てんびん」「メスシリンダー」「検流計・電流計・電圧計」「ものさし」「方位磁石」などが内容を関連付ける鍵教材になることがわかった。また,「水」「光・日光」「温度」等を鍵教材として抽出し,単元間のつながりを系統表の中に図示した結果,関連性を導く視点や教材・教具を明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現行の小・中学校理科カリキュラムに基づく教科書調査から,基本的な鍵教材を抽出できた点,それらを用いたカリキュラム・マップを作成できた点,理科の問題解決学習に対応したプロセス・スキル(案)を提示できた点は概ね計画通りである。しかし,調査に用いた教科書が限定されているので,種類を増やして鍵概念の検証を行うことや,「測定する」以外のプロセス・スキルによるカリキュラム・マップの作成とその分析がまだ不十分であるため,平成28年度は,それらを補完する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は,基礎データを増やして,鍵教材の抽出とカリキュラム・マップの作成を行い,プロセス・スキルによるカリキュラム・マップの作成を充実させる。そして,それらのカリキュラム・マップを単元構想や授業構想に反映させる手法を具体化し,授業実践を通して評価を行って,カリキュラム・マップにフィードバックする。また,鍵教材やプロセス・スキルに関連した教材開発を行い,授業実践や教員養成・教員研修棟で活用する。さらに作成した鍵教材,プロセス・スキル,カリキュラム・マップはデータベース化して,ホームページで閲覧可能にする。
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