地域社会における科学教育の学校教育以外の担い手として近年注目されているのが,科学館や教育研究機関の専門家らが主導する科学コミュニケーションであるが,もう1つ見逃せないのが,企業の社会的責任(CSR)活動(工場見学や出前講義等の市民向けプログラム,従業員参加等)である.本研究では前者の文脈における後者のCSR活動の可能性と重要性に着目し,①製造業を中心に科学技術分野での地域社会貢献型CSR活動が広がりを見せていること,②研究開発をめぐる社会的責任や科学技術広報などの歴史的経緯から,地域社会のミクロなステークホルダーを見据えた活動への展開が見られることを,事例研究から明らかにした.
|