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2016 年度 実施状況報告書

多様な学習者と教育目標に対応可能なレポート執筆指南の評価ルーブリック構築

研究課題

研究課題/領域番号 26350243
研究機関北九州市立大学

研究代表者

池田 隆介  北九州市立大学, 基盤教育センターひびきの分室, 教授 (60347672)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード作文 / アカデミック・ジャパニーズ / 評価 / ルーブリック / 初年次教育 / 大学生 / 留学生 / レポート
研究実績の概要

本プロジェクトの目的は、日本語による学術文章執筆能力の向上に繋がる評価の枠組みの提案にある。レポートや論文の作成に関わる日本語作文は「文法のみ」あるいは「内容のみ」といった単一の指標で評価可能な成果物ではない。ACTFL-OPIが効用の言語運用能力をさまざまな観点から複層的、かつ、総合的に評価しているが、それと同様に日本語作文プロフィシェンシーを構成する多様な下位能力の存在に目を向けた評価法を定めることが不可欠である。
2016年度における本プロジェクトの最終目的は、学習者(=レポート執筆者)が自身のレポートを自己評価するための評価ルーブリックを提案することにあった。学習者が抱くレポート執筆に関する疑問、不適切な出典記載に至る学習者の意識調査などを過年度の調査結果を踏まえ、学習者が気づきにくいがアカデミック・ジャパニーズにおいては重要とみなされるチェックポイントを意識しつつ、ルーブリック・シートを作成した。しかしながら、ルーブリックや能力記述に関する表記が複雑となり使用の際の利便性を向上させなければならないとの課題を得た。同時に、研究としては公表されていない大学等の初年次教育におけるレポート自己評価の実践例をさらに収集し、ルーブリック・シートの改善を行っていく必要があると判明した。
本プロジェクトでは、2016年度末よりルーブリック式のレポート評価表改善案の試作とその効果を検証のための調査を行っている。日本人学部生に対して、試作ルーブリックを用いたレポート自己評価活動などを実践し、外部評価との対照やルーブリックの使い勝手に関するアンケートを行っている。調査は、2017年度も継続し、結果の詳細については、2017年8月の台湾OPI国際シンポジウム等の場で公表される予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初計画において、2016年度はプロジェクトの完成年度となっていた。2016年度中に、レポート執筆支援のための自己評価ルーブリックを提案する予定となっていたが、参照資料の追加によるルーブリックの修正、及び、再度の効果検証を行うことが必要となった。レポート執筆者となる大学生が抱く「レポート執筆に関する疑問」の収集と分析(1, 2)、不適切な出典記載・引用を誘発する動機(3)など、レポート執筆者にとって意識されにくい要素を抽出し、それを反映した自己評価のためのルーブリックを作成することで、質の高いレポート執筆に貢献することを試みていた。しかしながら、試作したルーブリックの能力記述や判定方法など、実際の学習者からは「使いにくい」とのフィードバックが寄せられた。同時に、研究としては公表されていないレポート執筆指導のための独自教材についての情報を得ることができたので、その使用実態を調査し、本プロジェクトの教材開発に反映させることが重要と判断した。そこで、2016年度末から2017年度前半にかけてルーブリックの修正と再度の効果検証を行い、評価項目の妥当性のみならず実用性という観点でも利用価値の高い自己評価の枠組みを提案するための作業を行うこととした。

<参考文献>
1.教養教育課程の日本人学部生が抱く「論文の書き方に関する疑問」. シドニー日本語教育国際研究大会2014. 日本語教育学会. 於:シドニー工科大学(オーストラリア). 2014.
2.学生の疑問を起点とした文章表現指導―学部生の論文スキーマ養成に向けて―. 九州OPI研究会. 2016.
3.レポートにおいて出典を記載しないまま行われる引用. 第10回OPI国際シンポジウム. pp.139-142, 日本語プロフィシェンシー研究会. 於:函館国際ホテル, 2015年.

今後の研究の推進方策

上記の進捗状況の理由としてあげた「レポート執筆指導のための未公表独自教材」については当該機関に依頼し、教材と使用実態に関する調査を行っている。それを踏まえたレポート自己評価のためのルーブリック修正版については、2017年度中に効果検証を行う。その結果の一部については、2017年OPI国際シンポジウム(8月, 台湾)にて公表予定である。

次年度使用額が生じた理由

研究の最終提案となる、レポート自己評価ルーブリックシートの修正と効果検証を再度実行する必要が生じたため、プロジェクトの延長申請を行った。これにともない結果公開のための学会発表、最終的な報告書の印刷等の研究活動も2017年度にずれ込むこととなり、残額が生じることとなった。

次年度使用額の使用計画

海外(台湾)における研究集会での発表、及び、成果報告書の印刷のために使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 学生の疑問を起点とした文章表現指導―学部生の論文スキーマ養成に向けて―2016

    • 著者名/発表者名
      池田隆介
    • 学会等名
      九州OPI研究会
    • 発表場所
      久留米大学天神サテライト 〒810-0001 福岡県福岡市中央区天神1丁目4-2
    • 年月日
      2016-06-26

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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