研究課題/領域番号 |
26350256
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研究機関 | 舞鶴工業高等専門学校 |
研究代表者 |
竹澤 智樹 舞鶴工業高等専門学校, 電気情報工学科, 教授 (60413796)
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研究分担者 |
丹下 裕 舞鶴工業高等専門学校, 電気情報工学科, 准教授 (50435434)
中川 重康 舞鶴工業高等専門学校, 電気情報工学科, 教授 (60155679)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 分野横断的教育 / 工業高等専門学校 / 生体信号測定 / 近赤外分光 / 脳機能測定 |
研究実績の概要 |
本研究は、工業高等専門学校(5年一貫教育と専攻科2年教育)における専門分野教育に、異分野の共通課題を取り入れ、分野横断的な教育を効果的に実施する教育プログラムを構築するとともにその教育効果を検証するものである。舞鶴工業高等専門学校の電気情報工学科の多くの専門分野科目に、異分野である医学分野の共通課題「NIRS(Near Infra-Red Spectroscopy)による脳機能測定」を取り入れた。課題解決には医学分野の知識の他に本学科で教育する電気、電子、情報、通信工学の知識が要求される。異分野の課題解決のために、電気、電子、情報、通信分野の様々な専門科目を連携させる学習が必須であることが学生に教育され、効果的に分野横断的な専門分野教育が実施されるための取組みが行われている。 第1学年から第5学年、さらに専攻科の専門分野の授業科目に、異分野である医学分野の共通課題を、年次進行で取り入れた。講義科目に加え、第2学年では実験科目にも異分野課題として、生体信号を取得する電子機器の製作実験を取り入れた。第4学年では、医学分野の、より具体的で高度な内容として、血流量を電気信号として検出する理論や、その電子装置の開発に関する教育を取り入れた。第5学年でも、より専門的な内容として、NIRSによる脳血流量測定データの解析を卒業研究テーマとして取り入れた。また専攻科の特別研究においては、NIRS脳血流量測定に関する研究で、学位取得、外部研究発表に至った。 低学年からの異分野課題の導入により、本学科で教育する電気・電子・情報・通信の基盤技術が多くの異分野で利用され、また全ての基盤技術が課題解決に必要となることが、効果的に、かつ具体的に学生に教育された。低学年からの電気・電子・情報・通信の基盤技術の分野横断的な教育は、高学年における実際の医学分野における研究として学生が成果をあげるに至っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の平成27年度の長期海外滞在のため、引続き研究遅延がある。平成30年度のおもな研究活動は、引き続き年次進行で異分野である医学分野の課題を授業に導入し、本学科で教育する電気・電子・情報・通信技術の異分野への係わりを教育するとともに、その分野横断的な教育の効果に対する評価、低学年からの教育の成果としての高学年の学生に対する異分野課題解決の研究指導とその活動への評価であった。 初年度(平成26年度)に生体情報の測定機器の整備を終えている。これらの機器を利用し、異分野である医学分野への電気・電子・情報・通信技術の係わりについての導入教育として、生体情報のデータ取得や解析のデモンストレーションが可能となった。平成27年度からは第2学年実験科目「電気情報工学実験IB」において、生体信号測定装置に関する実験を導入している。脈波測定装置の製作実験を導入し、センサからの入力信号処理、計測情報の出力処理を行うマイコンの基礎教育を実際の製作を通じて行えるようになっている。平成28年度以降は、研究にもつながるようなより高度な内容の課題を高学年において導入した。第4学年実習科目「工学基礎研究」においては、 反射型フォトセンサを利用した血液中のヘモグロビン量を検出する電子装置の研究・開発に取り組んてでいる。また第5学年「卒業研究」においては、NIRSによる脳血流量測定データの解析に関する研究に取り組んでいる。さらに低学年からの分野横断教育の成果を評価するために専攻科における特別研究においても異分野課題の研究テーマを取り入れた。 現在、分野横断的教育を目的に、異分野の課題を全学年の専門分野科目に取り入れることができ、また低学年からの取り組みの成果を評価するため、高学年や専攻科でも異分野課題の研究に取り組めるよう整備した。今後はさらにその教育成果の検証に関する取り組みを継続する。
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今後の研究の推進方策 |
分野横断的教育のための、異分野である医学分野の共通課題の授業への導入はほぼ終えているが、第3学年の授業科目への導入が遅れている。すでに異分野課題を導入済の授業科目においては、これを継続するとともに、導入が遅れている科目については早急に対応する。舞鶴工業高等専門学校の電気情報工学科で教育する電気・電子・情報・通信分野の基盤技術が、異分野で必要とされ、また全ての基盤技術の知識が線品開発や研究にも要求されることが、具体的な事例により教育される講義や実習を今後は定着させる。 教育の成果を評価する方法をさらに検討する。アンケートなどによる学生への調査の実施により、異分野の課題の授業への導入方法の改善を図ることや、分野横断教育に対する効果を評価することについて検討する。また学生の就職希望先の動向、研究対象の希望などの調査により、異分野課題を積極的に導入することの影響についても検討したい。 また、本研究の工学教育における成果についてさらに発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
生体信号取得のための被験者に支払う謝金の支出が遅れている。 研究成果発表のための旅費等を今年度に支出する。
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