研究課題/領域番号 |
26350260
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研究機関 | 国立教育政策研究所 |
研究代表者 |
後藤 顕一 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター基礎研究部, 総括研究官 (50549368)
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研究分担者 |
松原 憲治 国立教育政策研究所, その他部局等, 総括研究官 (10549372)
松原 静郎 桐蔭横浜大学, スポーツ健康政策学部, 教授(移行) (50132692)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 相互評価 / 観察,実験 / 理科課題研究 |
研究実績の概要 |
相互評価表を学びにつなぐ実践研究として,高等学校理科の新科目である理科課題研究での活用に取り組んだ。 理科課題研究は,自然に対する知的好奇心や探究心を高め,科学的な思考力・判断力・表現力の育成を図る観点から,探究活動を充実する科目として設定された。生徒自らが科学に関する課題を設定し,観察,実験などを通して研究を行い,科学的に探究する能力と態度を育てるとともに,創造性の基礎を培うことが目標である。 理科課題研究は,諸問題に対して自ら問いを見いだし,より良き解決を図ろうとする力の育成,創造性を求めており,学習を通じてこれからの社会に求められる汎用的能力の育成に寄与し得るといえる。本研究では,理科課題研究の学習過程と資質・能力の関係をまとめ,学習過程のうち「課題研究の成果をまとめる」「評価する」といった学習場面に着目して学習活動を示した。 「熟議」や「相互評価表を活用した取組」といった協働的な学習活動を取り入れた学習プログラムを考案し,協力校において試行実践では,「探究する能力や態度」である「種々の情報から適切な情報を選択する」,「目的をもとに的確に整理し表すことができる」といった力の育成等が期待できる結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理科課題研究の学習過程のうち,成果を表現したり,評価を確認したりするといった学習場面で求められる資質・能力について,汎用的能力の育成の視点でまとめた。更に学習活動を整理した学習プログラムを考案し,試行実践を通じて育むべき力について検討した。理科課題研究の目標として,挙げられている「科学的に探究する能力と態度を育てる」ことについて,考案した学習プログラム((ア)「熟議」形式を活用して評価規準を自分たちで考えるような体験,(イ)相互評価を用いた試行実践)を用いた試行実践では,「科学的に探究する態度の基礎」として,「種々の情報から適切な情報を選択する」,「目的をもとに的確に整理し表すことができる」,また,「相手の考えを聞く・自分の考えを伝える」「自他の違いを知り他者を理解し尊重する」「目的を共有し手立てを合意し決定する」といった能力の育成が期待できる結果となった。
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今後の研究の推進方策 |
今回は理科教育課題研究の目標である「探究する能力と態度」について研究を進めたが,「創造性の基礎を培う」ことに関しては触れていない。「創造力の基礎」とは何かを明らかにしながら,どのような学習活動が育成に寄与できるのかについてさらなる検討が必要である。 学習評価に用いた「社会の変化に対応し求められる資質・能力」は研究が継続しているため,飽くまでこの研究時点で用いる枠組みである。また,理科課題研究で育むべき資質・能力と汎用的能力との関係について示し,その検証として,考察記述からの評価,アンケート形式による自己評価法を用いたが,育成すべき資質・能力の総括的な評価に及んでいるとは言いきれない。また,それぞれの関係性が複雑になり,学習評価も多岐にわたってしまった点は課題である。生徒のどのような資質・能力が育ったのかを示すことができるような評価法については,さらなる検討が必要であると考える。 具体的な実践に向けて時間の確保に向けての工夫が更に必要である。学校現場では充てられる実践時間には限界がある。理科課題研究で,生徒たちは,どのような資質・能力を身に付けていくべきなのか,そのための学習プログラムとして不可欠な事項や内容を更に精選していく必要がある。資質・能力獲得のために,必要不可欠な基礎・基本とは何か,資質・能力を獲得するために求められる学習指導とは何か,どんな学習内容でどんな学習活動を行い,どのような学習評価が適切なのか,更に検討していく必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外出張予定を減じたため,翌年に持ち越すこととなった。
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次年度使用額の使用計画 |
海外出張計画と学会出張により計画的な予算執行がなされる計画である。
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