本研究は,デジタル化された物づくりによって地域の課題を協働で解決するソーシャル・ファブリケーションやITを活用した21世紀型スキルとしてのプログラミングなどの「新しいモノ作り」に対応したK-12における体系的なカリキュラムとブレンデッド・ラーニング型教授法の開発とそれを支える知的学習支援システムの基礎データを得るための試作に関する研究である.その主な特徴は,1.幼稚園年長組から高等学校までの体系的なカリキュラムであること,2.学ぶべき知識・技能を再構築し,学ぶべき知識・技能に基づくカリキュラムの開発,3.構成主義に基づく学習活動と実証主義に基づく学習活動を組み合わせたスパイラル型学習活動をブレンデッド・ラーニングで行う教授システムと教材の開発,4.知的学習支援システムとして,学ぶべき知識に関する知識モデルに基づいた学習支援が可能なeポートフォリオシステムの試作による基礎データ収集である. 本研究では,次の研究課題に分けて実施した.(1)学ぶべき知識・技能として,設計の知識,製造機器に関する知識,素材に関する知識,情報技術(主にプログラミング)に関する知識の整理と体系化を行った,(2)学ぶべき知識.技能に基づいた幼稚園年長組から高等学校までのK-12における新しいモノ作りの体系的なカリキュラムを構築した,(3)プログラミングやものづくりを対象としたブレンデッド・ラーニングで行う教育システム(方法)と教材の開発を行った,(4)eポートフォリオシステムと学ぶべき知識.技能に基づいた教材の試作を行った,(5)開発したカリキュラム,学習方法等の一部を小学生から社会人を対象とした実践を通して評価した. その結果,.学ぶべき知識・技能に基づく体系的なカリキュラムとブレンデッド・ラーニングが,「新しいモノ作り」教育を行う方法として有効であることが確認できた.
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