研究課題/領域番号 |
26350289
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
稲葉 竹俊 東京工科大学, 教養学環, 教授 (10386766)
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研究分担者 |
安藤 公彦 東京工科大学, 片柳研究所, 助教 (00551863)
松永 信介 東京工科大学, メディア学部, 准教授 (60318871)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | CSCL / 協調スクリプト / コーディング / 学習データ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、コンピュータ支援協調学習の足場掛けの手法の一つである協調スクリプト(collaborative script)の実行システムをクラウド上に構築し、グループの特性や学習過程の状況に応じて動的にスクリプトを最適化する知的機能や柔軟なグループ生成機能を実装することで、その有効性を評価することにある。具体的には、以下のような取り組み課題を中心に研究を進めてきた。 1. 言語データ評価技法の探求:先行研究の評価方法(コーディング)を参考に、スクリプトに適応したコーディングルールを確立し、チャット上での相互作用を質的かつ定量的に評価する。2.モデル化手法の探求:実際の学習局面のモニタリングおよび適応的支援の実現のため、学習局面をモデル化する。また、グループモデルは多様なクラウドデータも活用し精度を高める。 研究の初年度にあたる平成26年度は、特に上記の1.のコーディング手法の確立に取り組んだ。まず、既存研究を対象に、会話分析の手法であるコーディングにはどのようなコードが提案されており、どのような特徴を持つのかを調査した。また、CSCLの分野で会話分析を行っている既存研究の調査も行った。次に、先の研究(23501117基盤研究(C))で取得された協調学習の会話データを対象に、本研究組織のメンバー全員でコーディングを複数回実施し、最終的にコーディングマニュアルのバージョン1を作成することができた。 また、これと並行して、先の研究で開発した協調スクリプト実行システムの改善を行った。主な改善点としては以下のものがある。1.UIの変更:学生に親近感のあるLINEを参考にしたUI。2.グループ自動生成機能の強化:指定条件に必ず合致する学生を1名以上含むなどといった詳細な条件付け機能。3.協調活動の監視機能の強化:グループ発言量偏差値の表示、個人発言数表示、課題進行度の表示。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の研究計画では、既存コードの調査、コードの開発、システムの改善、そして新コードと既存コードの比較評価のための実験の4つのステップを想定していた。これらについては、26年度の研究作業を通して、おおむね実施できた。ただし、現状のコーディングマニュアルにおいては、システム上で運用するスクリプトのフェーズや役割との関連付けは行われておらず、検討が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、現行のシステムを学内で運用されているクラウド上に再構築を行い、クラウド上から取得可能な学習者の多様なデータと協調学習のプロセスで取得されるデータとの関連性をデータマイニング等の手法を用いることで明らかにしていくことで、最適なグループ生成のためのモデルを構築する。また、スクリプトが規定する学習フェーズにおける学習局面の活性化モデルを構築する。 これら2つのモデルをシステム内に実装し、各グループの協調プロセスのリアルタイムでの学習状況の掌握とスクリプトの適応的実行を可能とすべくシステムを構築し、実験評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に予定したシステムの改良の業者への委託において、予定していた改良点のすべてを委託できなかった点と、当初、コーディングマニュアルに基づいた学習データのコーディングの業者への委託が平成27年度に持ち越しになったため、予定よりも支出が少なくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度に遂行できなかったシステムの改良を行う。また、平成26年度の実験データのコーディングについて、業者への委託を行う。 また、平成27年度はシステムの学内クラウドへの構築作業の業者への依頼、海外で開催される国際学会での発表を予定している。
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