研究課題/領域番号 |
26350291
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研究機関 | 金城大学 |
研究代表者 |
下村 有子 金城大学, 社会福祉学部, 教授 (70171006)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 夜盲支援 / 視覚障害支援 / 明暗順応障害 / 視覚障害 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、夜盲体験メガネを製作した。これは夜盲者の適時の協力が得ることができなかったためである。体験メガネは真っ暗なテントの中に夜盲者に入ってもらい、そこで夜盲者の視力検査の実験をし、その時に見えた度合いの体験めがねを製作した。体験メガネを構築することで常時実験が行えることになった。 このめがねを用いて、教室内の何が見えて、なにが見えないのかを判明した。教室内はプロジェクタを点灯した状態で、照明を半分落とした明るさで行った。この時のカメラはEPSONのHMDに付加されているカメラと26年度購入の暗視カメラを用いた。両方のカメラとも結果は白板と手元が良く見えないことが分かった。EPSONのHMDに付加されているカメラを使用したわけはHMDのシステムでは他のカメラの接続が不可能だったためである。2つのカメラを比べた結果、はるかにEPSONのHMDに付加されているカメラよりも暗視カメラのほうが見やすいことが分かった。 画像処理として、カラー・モノクロ切り替え、コントラストの変更、明暗の変更システム構築を行った。システムのアルゴリズム構築担当は南保である。HMDの制御装置はAndroid4.0のOSだったために、ソフトとしてOpen CV for Androidを用いた。このシステムの実験は夜盲の被験者3名で行った。結果は「モノクロが見やすい」「コントラストを上げた方が見やすい」「明暗は普通が良い」であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27 年度の実施予定であった実験機の構築、システムのアルゴリズムと構築は滞りなく行った。被験者として依頼できる夜盲者が少ないために、急遽、夜盲体験メガネを製作することとした。このために時間を費やしたが、夜盲体験メガネを製作したために、順調に実験が行えるようになった。実験は主にPCのディスプレイを出力装置としている。HMDは次々と発表されるが、夜盲者に適するものは少ない。平成27年度は何度も実験が行え、結果が出たために、国内学会2回、国際学会1回の発表を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度にできなかったことは、暗視めがねで入力したデータをシステムで調整し、HMDまたはディスプレイに出力することである。平成28年度は解像度の高い暗視カメラを購入し、ワークステーションでのシステム構築を行うことである。そのための機器類を購入・検討を行う。暗視カメラには遠赤外線カメラや近赤外線カメラがあり、どちらが夜盲者に適しているのかも検討する。すでに企業の研究所より遠赤外線暗視カメラのデモ機の依頼をかけている。 あとは実験を繰り返し、より良い調整を行ってシステムの改良を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に国際学会で発表予定をしていたが、開催地が欧州からアジアと変更になったために旅費がかからなかったこと、夜盲体験メガネを製作したために夜盲者への謝金が減少したこと、端末のPC購入が現存のもので使用したことが大きな理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度はワークステーションを購入し、新システムを製作する。この製作費にこの予算を充てるつもりである。また構築のための参考書籍も購入する。 平成28年度予算は計画通り、国内発表、国際学会の発表、謝金に使用する。情報収集のための学会参加費、旅費も使用する。
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