研究課題/領域番号 |
26350292
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研究機関 | 金城大学 |
研究代表者 |
川邊 弘之 金城大学, 社会福祉学部, 教授 (60249167)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 視野障害 / 学生支援 / 視野狭窄 / 視線追跡 |
研究実績の概要 |
本研究を含む進行中の研究プロジェクトの目的は、視覚障害学生が大学の講義を不自由なく受講できるシステムの構築である。この研究プロジェクトでは、視野狭窄者のためにカメラとHMD(Head Mounted Display)を用いて健常者の視野を提供する支援メガネを試作してきた。そこでは、カメラからの映像がHMD内で視野狭窄の状況に応じて縮小表示される。問題になったのは目の疲れであり、その原因は眼球を動かさずに小さな映像を凝視し続けることである。そこで、本研究では眼球運動に合わせてその視線の先に映像を表示しようとしている。HMDの内側の超小型カメラで眼球運動による視線の移動を検出し、映像の表示位置を視線の先に移動させることで、HMD装着者の疲労軽減を目指している。 平成27年度は、全ての研究目標に向けた研究を行った。 研究目標【1】HMDの内側への超小型カメラの組み込み:に向け組み込みに適したUSBカメラとHMDを入手し、組み合わせた。だが、HMD内部のカメラの性能と大きさに不満がある。もっと小さな筐体で短焦点のレンズのカメラが望ましい。 研究目標【2】眼球運動の検出:瞳の検出と視線方向の決定のためのソフトウェアを書いた。課題もある。瞳の検出精度と速度、視線方向の精度である。ソフトウェアの改良を必要である。 研究目標【3】HMDでの映像の表示位置の変更:瞳の動きに応じて表示位置を変更することができた。位置を変えることはできたが、表示窓を動かす速さが課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は、研究目標「【1】HMDの内側への超小型カメラの組み込み」、「【2】眼球運動の検出」、「【3】HMDでの映像の表示位置の変更」に向けた研究を継続した。 【1】HMDの内側への超小型カメラの組み込み:繰り越した研究費で組み込むのに適当なUSBカメラとHMDを入手し、平成27年度の経験を活かしハードウェアを製作した。いくつかのUSBカメラを分解し、カメラ部分を取り出した。取り出したカメラ部分はいずれもそれなりの大きさで、超小型といえるほど小さくはなかった。この項目は平成27年度の中心課題であったので、研究の進展に多少遅れが生じている。 【2】眼球運動の検出:ハードウェアの製作と並行し、ソフトウェアも開発した。瞳の検出と視線方向の決定がこの項目の中心である。平成27年度の研究を発展させることで実現できた。ただ、ソフトウェア開発において、ノート型ワークステーションの非力さが気になったので、現有のデスクトップ型ワークステーションもソフトウェア開発に活用した。その際、画像解析のためにハードウェアの増強を行った。この項目はおおむね順調に進展している。 【3】HMDでの映像の表示位置の変更:外部からの入力で映像の表示位置を移動させるソフトウェアの試作版を書いた。この項目は平成27年度の中心課題であった。本格的な進展は平成28年度になる。従って、当初の計画以上に進展している。 以上のことから、研究計画はおおむねおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、研究目標「【1】HMDの内側への超小型カメラの組み込み」、「【2】眼球運動の検出」、「【3】HMDでの映像の表示位置の変更」に向けた研究を継続する。 【1】HMDの内側への超小型カメラの組み込み:繰り越した研究費で組み込むのに適当なUSBカメラとHMDを入手し、平成27年度の経験を活かしハードウェアを製作する。 【2】眼球運動の検出:ハードウェアの製作と並行し、ソフトウェアも開発する。瞳の検出と視線方向の決定がこの項目の中心である。平成27年度の研究を発展させることで実現できると考える。現有のデスクトップ型ワークステーションもソフトウェア開発に活用する。その際、画像解析のためにハードウェアの増強を行う。また、利用者環境での実証実験のため、ノート型PCを導入する予定である。 【3】HMDでの映像の表示位置の変更:予定を前倒しして、平成27年度での結果を受け、本格的な進展となる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に購入したHMDが平成26年度に予想されて価格よりも安くなったこと、既に所有していたHMDを利用したこと、この2つのことから支出額が当初想定していた金額より少なくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
画像解析のために現有のデスクトップ型ワークステーションの能力増強を行う。また、また、利用者環境での実証実験のため、ノート型PCを導入する。
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