| 研究実績の概要 |
本年度は，旋盤作業訓練シミュレータに対して危険な行為をしたときの警告機能と作業手順を教示する機能を付加し，外丸削りを訓練対象としたときの訓練効果を検討した．
旋盤作業における危険な行為は，①危険な領域に作業者の身体が入ること②旋盤などが破損する操作を行うこととして警告機能を付加した．①における具体的な危険領域は，旋盤技能者が外丸削りを行ったときの身体部位の位置を測定した結果から決めた．シミュレータ作業では，危険領域に入ったときに警告音や警告メッセージを出力する．②における操作とは，使用後のチャックハンドルを外さないこと，主軸台内の歯車の噛み合わせが不十分なまま主軸を回転させることとした．これを検出するためチャックハンドルおよび主軸回転数設定レバーに反射マーカを貼り付けて監視し，正しい操作が行われていない場合に警告する．
外丸削りにおける操作では，主に主軸設定レバー，主軸起動レバー，工具送りハンドルを使用するため，これらの動かし方を順番に指示することで作業手順の教示を行う．レバー操作の指示は，実物と同寸法の仮想物体のレバーと矢印により，動かすレバーとその位置を指示する．工具送りハンドルでは，早送りの場合は動かす方向を仮想物体の矢印により指示する．切削送りの場合は，ハンドルを回転させる適切な速度で回る円板状の仮想物体を工具の近くに表示し，それに合わせるように作業者はハンドルを回転させる．
本シミュレータによる訓練の効果を検討するため，ビデオ教材による作業の学習を比較対象とした実験を行った．被験者は工学部学生4名であり,旋盤の実習経験が少ない初心者である。これをシミュレータで訓練するグループとビデオ教材で学習するグループに2名ずつ分けた．ビデオ教材は，機械加工実習を担当する技術職員と相談して作成したものである．その結果，本システムの方が誤操作や危険行為を少なくさせる傾向があった．
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