本研究は、生活課題解決能力を育成するための具体的なアクティビティ(学習活動)を中心にした授業デザインと授業評価を検討して、「授業デザインを基盤とする授業改善・創造モデル」を提案し、実証的に検証することを目的としている。 研究の初年(H26年)度に、4県の高校家庭科教員に授業研究の実態について実施したアンケート調査を分析した結果約7割の教員が学習活動を創造する段階で悩み,さらに学習活動を効果的に導入し支援して問題解決的な学習に展開していくといった授業デザインに課題があることが明らかになった。H27年度には、これまでコンサルテーションとしてかかわった小学生の消費者教育の授業について,児童のワークシートの記述内容から学習者の意思決定のプロセス,思考の変容を分析し,導入した「買い物シミュレーション」のアクティビティが適切だったかを評価した。そして、授業実践を再構成し,さらに消費生活課題解決能力を育成する授業デザインについて理論化を試みた。また、H27年9月には、アクティビティ(学習活動)を中心に捉えたアクションリサーチモデルの実証研究を愛媛県の高校で行ない、授業者が一人でも授業改善ができるかを検証した。H28年度は、これまでの研究の分析を進め、アクティビティ(学習活動)を中心にした授業デザインと授業評価では、①活動内容の適合度、②活動の困難水準、③学習活動の到達度、以上3つの視点で検討することによって、授業改善に活用できることを明らかにした。 H29年度は、一連の研究成果をまとめるために期間を1年延長した。アクティビティを中心に捉えたアクションリサーチモデルで授業改善した実証研究として、中学生家庭科における消費者市民を育成する「すごろく」を開発した授業実践について、授業分析をした。また、一連の研究成果をまとめて、H30年研究成果公開促進費(学術図書)に応募し、内定を得ている。
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