本研究の目的は、電子書籍端末での文章読解行為に注目し、電子媒体の表示・操作特性を活かした読解方略・スタイルを明らかにすることである。印刷書籍と電子書籍を用いた読解行動実験、6ヶ月以上の電子書籍端末貸与を通じた読書行動調査、質問紙による日常読書行動調査に取り組んだ。分析の結果、物質的特徴を利用できない電子書籍上の読書では、積極的に読解痕跡(ハイライト、メモ、栞挿入)を残し、それらの一覧表示機能等を利用して読解・定着につなげることが有効な方略であることが判った。さらに、電子書籍利用により、書籍への書き込み行為に対する心理的抵抗感を低減することや、読書量が増加する可能性があること等も示唆された。
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