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2016 年度 実施状況報告書

重度視覚障害学生の論理回路実験支援装置の開発

研究課題

研究課題/領域番号 26350308
研究機関筑波技術大学

研究代表者

関田 巖  筑波技術大学, 保健科学部, 教授 (40357322)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2019-03-31
キーワードピン / ソケット / 拡大表示 / リアルタイム性
研究実績の概要

学術的な成果は乏しいものの、実用上の成果は以下の通りである。
1.ICのブレッドボードへの配置
ICは、全てのピン(足)がブレッドボードのソケット(穴)の正しい位置にないままブレッドボードに押し込むと、ピンが曲がったり、開いたり、折れたりする。このため、視覚障害学生が目的のICをブレッドボードに挿入することは非常に困難であった。これを解決すべく、ICの全てのピンの曲がり具合をソケットに合うよう事前に揃えたり、軽く配置した際にソケットに正しく入っていないピンを特定して修正してもらう方法を検討したが、自動化は困難であった。一方、論理回路の実験では、回路の等価性により、ICの種類を限定することができる。このため、論理回路の基礎実験を十分行えるために14個のICを予め配置し、さらに、ブレッドボード上の電源用のソケットに給電するための配線を予め行うことで、ICのブレッドボードへの設置の問題を解消した。
2.弱視学生が配線しやすい拡大画像の提供
配線は、配線箇所付近が拡大表示されるとよい。この際、課題になるのは、(1)拡大画像の高精細表示、(2)表示のリアルタイム性、(3)IC等に隠れない配線箇所の表示、である。(1)を実現するために高解像度で撮影並びに表示すると、処理時間がかかり、(2)の実現が困難になる上に、高精細な大型のディスプレイが必要になる。これらの問題を解決するために、配線箇所を特定し、その付近を中心とした局所領域のみを拡大表示することで高解像度な拡大表示画像を安価なノートPCでもほぼリアルタイムで表示することが可能となった。また、(3)のために、カメラを前方からと後方からの2箇所に設置して、両画像を表示することで、ソケットが隠れてしまう問題に対応した。ただし、配線箇所の特定のために、現在のところは、撮影された全体を低解像度で表示し、その中をクリックしてもらう必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

以下の進捗状況により、部分的に進んでいたり遅れているため。
1. ICのブレッドボードへの配置については、視覚障害学生がICをブレッドボードへ装着するのは困難であるため、論理回路の基礎実験を十分行えるためのICを予め装着し、さらに、ブレッドボード上への電源供給配線を予め行うことで、ICのブレッドボードへの設置の問題を解消した。
2. 弱視学生が配線しやすい拡大画像の提供については、配線を行うIC付近の特定をマウス操作で指定することを前提に、そのIC付近を中心とした局所領域のみを2箇所からのカメラからの映像を拡大表示することで、高解像度な拡大表示画像を、配線のためのソケットがIC等で隠れることなく、15インチディスプレイの安価なノートPCでもほぼリアルタイムで表示することが可能となった。
3. マザーボードの位置の同定については、ブレッドボード上にキャリブレーション用のポイントのあることを前提に、カメラのモデルパラメータを求める非線形最小二乗法のアルゴリズムを実装した。ただし、安定性と精度についての検討の余地がある。

今後の研究の推進方策

配線箇所の特定のためのマウス操作は、全盲学生には不可能なので、配線箇所の特定を自動で行うことを進める。前年度までは、リード線の線先をトラッキングしてその周辺領域をときどき移動させながら表示する方法を考えたが、カメラ性能と照明等により生じるノイズの影響で、リード線の先端を安定して自動認識するまでには至っていない。このため、マーカーの一定時間以上の停溜により指定する方法、または、マザーボード上のICの配置が固定されているため、設計時に配線箇所(ソケット番号)も設計してその箇所をタイピング等で指定する方法など、別の方法で指定する方法を検討する。
マザーボードの正確な位置同定については、各種パラメータの最適化アルゴリズムを検証し、計算結果の安定化のためアルゴリズムならびに初期値の与え方について改良をする。キャリブレーションポイントの自動化について検討を進める。

次年度使用額が生じた理由

非常勤雇用時間が、計画より若干少なくなったため。

次年度使用額の使用計画

残金は、物品費あるいは非常勤雇用費用に充当する予定。

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公開日: 2018-01-16  

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