研究課題/領域番号 |
26350308
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研究機関 | 筑波技術大学 |
研究代表者 |
関田 巖 筑波技術大学, 保健科学部, 教授 (40357322)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | IC / ピン / ジャンパー線 / 配線 |
研究実績の概要 |
計画では、重度視覚障害学生のために、ジャンパー線の認識アルゴリズムの開発を進めることになっていたが、認識精度が100%でないと、確認の際に配線ミスなのか設計ミスなのかの判断が困難であり、そこまでの精度には至らなかった。このため、触覚情報と事前準備で正確な配線が行える方法を検討した。その結果、ICにジャンパー線を配線できるようにするために、(1)ICのピンの片側(ICに依存するが7本が主流)を全て1度に配線できるようにし、(2)ICの出力(1/0)をブザー音で確認できるようにした。 (1)に関しては、ジャンパー線のオス側が1列になるように接着し、特殊ジャンパー線を作成した。但し、未使用線の短絡を防止するために、オス-メスのジャンパー線を使用することにし、各ジャンパー線のメス側に対応するICのピン番号を触覚情報で付加した。そして、メス-メスの端子同士を、2cm程度の短いオス-オスのケーブルで接続することにより、メス同士の複数接続を可能にした。このオス-オスケーブルは、端子数が2または4または6である。4または6端子のものにおいては、うち1端子には手で抜き差しのできるカバーを付けてあり、未使用の端子のある場合でも短絡が起きないようになっている。 (2) に関しては、4端子の出力結果をブザー音(1は高音、0は低音)で確かめられる回路(出力確認用論理回路装置)を作成した。ここでのブザー音は、1端子当たり0.5秒間の音と0.5秒間の無音からなり、4秒間で4端子の出力情報を示すことができる(8端子へ拡張可)。重度視覚障害学生は、実験で自作した論理回路を本確認装置に接続して、配線の出力を確認できるようになり、単独で配線できるようになった。 その他、事前設置のICを交換したい場合に対応するため、全てのICにICソケットを装着するように改善し、IC交換時にもピンの破損を防止できるようにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1) 重度視覚障害学生に対する論理回路実験キットについて 主に平成28年度の前述の研究成果により、重度視覚障害学生が単独で配線できる目処を得た。但し、定量的な評価と、貸し出し等のできる複数の出力確認用論理回路装置を作成するまでには至っていない。 (2) 軽度視覚障害学生に対する論理回路実験キットについて 自身の視力を使って配線したり、その確認がしやすくなるように、2台の卓上カメラを論理回路実験キットの前方と手前に配置する方法を開発した(主に平成27年度)。2台のカメラを用いることで、IC等による隠れ部分を削減し、見やすい映像が得られるようになった。また、注目したい部分のみを拡大表示することにより、拡大表示のために生じる遅延を、より少なくできるようになった。但し、2台の卓上カメラのキャリブレーションと注目部分の指定方法をより簡便にできるために、改善の余地がある。
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今後の研究の推進方策 |
(1) 重度視覚障害学生に対する論理回路実験キットについて 定量的な評価を行い、必要に応じて改良する。貸し出し等ができるように、多数の特殊ジャンパー線等を作成すると共に、出力確認用論理回路装置を複数作成する。 (2) 軽度視覚障害学生に対する論理回路実験キットについて 配線等を行う過程で、卓上カメラや論理回路実験キットを動かしてしまうことが多い。軽度視覚障害学生がより簡便に論理回路実験キットを使用できるようにするために、論理回路実験キットの基板等を高い精度で自動認識できるアルゴリズムを開発し、実装する。
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次年度使用額が生じた理由 |
総額が1万円単位とならなかっため、端数が生じた。次年度の消耗品等で有効に使用したい。
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