物理的な配線を伴う論理回路実験キットに関しては、本学で希望する学生向けに貸与できる数の部品を調達し、プリ設定された教材を準備した。そこでは、ブレッドボードに対する電源供給のための最低限の配線を行い、基本的なICを定めてICソケットを装着しプリセットした。重度視覚障害学生にとって、出力結果の1,0を把握しやすくするためのブザー回路を、複製しやすいように簡単化して準備した。 物理的な配線は、視覚障害学生にとっての負荷が高いため、ソフトウェアシミュレーションを行える教材の準備を行った。そこでは、情報技術を学ぶ視覚障害の大学生を前提にして、シミュレーション段階(第1段階、第2段階(その1)、第2段階(その2))をわかりやすく3段階とし、第2段階までで、ICを使った実験を意識したシミュレーションを行えるように、教材を準備し、ソフトウェアの更新を行った。特に、第1段階では、フリップフロップ関数の入出力変数を簡素化し、より使いやすくした。第2段階では、応用例を拡充し、フリップフロップの種類を増やし、また、ポジティブエッジのみならずネガティブエッジも可能とした。しかし、さらなる拡張の必要性が生じたため、そのための更新を継続中である。 シミュレーションにより論理回路の学修を進められるようにする研究成果については、論文投稿をおこなった。しかし、検証内容が不十分なのと、記述の不明瞭さがあり、不採択であった。このため、再投稿に向けて、準備を進めている。
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