研究課題/領域番号 |
26350309
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
高橋 誠 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (10361718)
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研究分担者 |
田中 雄二郎 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70236644)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 臨床実習 / 医療安全 / 医療手技 / 採血 / 危険因子分析 |
研究実績の概要 |
基本的診療技能として、医学教育モデル・コア・カリキュラム(平成22年度改訂版)「G 臨床実習」に挙げられている静脈採血を対象とし、危険因子分析法(医用HAZOP)を用いて、学生が実施する際のリスクの網羅的な解析を行った。 臨床実習中の学生72名に危険因子分析演習を実施したところ、静脈採血手技は、駆血帯の装着、血管の視認、穿刺部の消毒、血管の穿刺、血液採取、注射針の抜去、圧迫止血の各工程に分解された。各工程に潜在するリスクとして、駆血帯の装着では、不適切な装着圧、装着時の皮膚の巻き込み、装着場所の誤り等が、血管の視認では、静脈が見えない、静脈以外のものを静脈と誤認する等が、穿刺部の消毒では、患者皮膚のかぶれ等が、血管の穿刺では、迷走神経反射、神経損傷、動脈穿刺、針刺し事故等が、血液採取では、針の位置がずれて採血できなくなる、神経を損傷してしまう等が、注射針の抜去では、駆血帯の解除を忘れる、針刺し事故等が、圧迫止血では、止血できない等が挙げられた。 一方、臨床実習を担当している大学教員5名に同様の危険因子分析演習を実施したところ、各工程の分解は学生と同様であったが、各工程に潜在するリスクとして、手技実施者の要因だけでなく、患者の体動による手技の妨げや疾患に起因するリスク(血管の脆弱性に起因する穿刺困難、凝固機能低下による止血困難等)など患者要因のほか、採血場所の照度や広さなど環境要因にも言及されていることが、学生との相違として認められた。 さらに、臨床実習を修了した学生55名にシミュレーターを用いて静脈採血実習を実施し、現在、収録したビデオを解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基本的診療技能を学生が実施する際のリスクの網羅的な解析については、危険因子分析法による解析やシミュレーター実習での行動解析を実施し、順調に進展している。一方、学生、大学教員のそれぞれのリスク認知能力の差違の検討については、参加者のスケジュール調整の関係でインタビューによる情報収集が若干遅れていることから、質的解析が不十分であるが、前項の解析結果から指導医の安全管理能力の評価尺度の開発に着手することは可能であることから、現在までの達成度はおおむね順調に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、基本的診療技能を学生が実施する際のリスクの解析および、シミュレーター実習での行動分析をあわせて実施する。学生、大学教員のそれぞれのリスク認知能力の差違の検討については、参加者のスケジュール調整のもとインタビューを実施し、質的解析を行う。解析結果から指導医の安全管理能力の評価尺度の開発に着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品発注の遅れから予算の執行が年度内に間に合わなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度予算の物品費に割り当て、年度内に執行予定であった書籍購入費用として使用する予定。
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