研究課題/領域番号 |
26350317
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
須曽野 仁志 三重大学, 教育学部, 教授 (50293767)
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研究分担者 |
下村 勉 三重大学, 教育学部, 教授 (80150217)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | デジタルストーリーテリング / 学び続ける教員 / インストラクショナルデザイン / 2-POMME |
研究実績の概要 |
現職教員及び教員を目指す大学生が、十数枚の静止画を制作者自身の第一人称でのナレーションでつなげるデジタルストーリーテリング(digital storytelling、略称「t-DST」)にとり組んだ。平成27年には、(1)教員の生涯学習と教員のためのt-DSTの内容と方法、(2)ミニプレゼンテーション用「3sカード」を活用したt-DSTの制作方法の開発、(3)教員対象のt-DSTワークショップの実践制作、(4)教員及び大学生が制作した作品の分析、にとり組んだ。 (1)に関しては、現職教員へのインタビューをもとに、教員が自分自身の教職生活をふり返るt-DSTの内容を整理し、教職生活をふり返るために、写真や絵を用いてストーリーの内容と方法を検討した。さらに、教員としてのライフヒストリーやNarrative Learningの研究から、教職経験や夢をどう語るか、作品を活用できるかまとめた。さらに、協働でのt-DSTの制作やその効果について検討した。 (2)では、教員生活のふり返りや教員になろうとする夢を3項目にまとめ、制作できるように考え、実践を開始した。ストーリー性を持たせるためにも「3sカード」が有効であった。 (3)教員対象のt-DSTワークショップの実践制作では、教員免許状更新講習での選択講習や教員を対象とした研修会でデジタルストーリーテリングを取り入れ、「我が教員人生をふり返って」というテーマなどで、ストーリー制作及び作品活用を進めた(1日間の講習を2日間)。 (4)については、教員及び大学生が制作した作品を、前年度提案したインストラクショナルデザインモデル「2-POMME(Two-Phase Output Model for MAKE and ENJOY)」をもとに、作品の内容及び表現方法を分析し、t-DSTの制作及び活用のプロセスと支援技法について考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的の1)「教師教育(現職教員教育及び教員養成を含め)においてDSTをどのように活用できるか」に関しては、教職生活の振り返りに着目し、教員が自分自身の教職生活をふり返るt-DSTを制作し、作品分析を開始できているので、研究目的はほぼ達成できている。 2)の「DSTを制作・活用し「自ら学び続ける」教員をどのように育成・支援していくか」は、インストラクショナルデザインモデル「2-POMME(Two-Phase Output Model for MAKE and ENJOY)」を提案し、t-DSTの制作及び活用の両面から、主体、対象、道具、コミュニティ、ルール、分業について、支援技法を具体的に明らかにし、海外の国際会議でも研究状況を報告した。 3) の「DST制作・活用を通じて、教員や大学生が仲間同士で協創できる学びのしくみをどのようにデザイン・構築・実践していくか」は提案したモデル「2-POMME」をもとに、コンピュータや動画編集ソフトだけでなく、iPadとiPadで使えるアプリをもとに、制作・活用できたので、ほぼ研究の目的は達成できている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、制作方法や作品活用について学ぶe-Learningコースをさらに実用化し、システムを改善し、Moodleで作品を共有・学び合いできるようにしていく。 インストラクショナルデザインモデル「2-POMME(Two-Phase Output Model for MAKE and ENJOY)」に基づき、学習効果、効率、魅力について、具体的に、制作者から得られたデータを量的・質的両面から整理し検討する。さらに、t-DST「教職生活を振り返って」を、大学及び学校での職員研修での制作を広げていく。 「2-POMME」が教員が学び続けるプロセスでどのように活用できるか、さらに支援できるかを最終年度に明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2016年6月にドイツ・フライブルクカトリック大学において開かれるインターナショナルウィークで、デジタルストーリーテリング及び日本の教師教育についてプレゼンテーションしたり、現地の教員と、学び続ける教員のあり方について情報交換する予定があるため。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年6月にドイツ・フライブルクカトリック大学において開かれるインターナショナルウィーク参加旅費として、2015年度旅費分を本研究助成金を支出する予定である。
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