学習者全体の有機的な知識ネットワークを作るアクティブラーニング支援システムにかかる研究の最終年度としては,まず,アクティブラーニングによる学修成果の可視化を実現するために電子シラバスを基軸としたアクティブラーニング支援Webシステムを開発するなどして,有機的な知識ネットワークで共有される最も重要となる学修情報に着目した取り組みを行った.ここでは,授業の設計段階において授業回ごとに到達目標や事前事後の学修課題などを設定したうえで,ICT活用により,学生の学修行動のモニタリング,多様な学修情報を融合した学修成果の可視化,可視化した学修成果のフィードバックなどを行った.その結果,様々な学修情報をデータベース化して共有することができ,さらには,これらの学修情報を解析することで,反転授業と協働学修の組み合わせによる学修到達度の改善や知識修得に向けた主体性の育成などといったアクティブラーニングに対する教育改善効果も得た.なお,この取り組みに対しては,公益社団法人私立大学情報教育協会より「平成28年度ICT利用による教育改善研究 奨励賞」を受賞した. さらに,知識ネットワークの共有を学生間のみならず教員間にも広げる取り組みも行うことができた.ここでは,全学教育課程を担う大学教育開発センターとICT活用による教育改善の取り組みを行っている情報センターが連携することで,全学的に学修情報を共有できる仕組みを構築した.これにより,学問分野を越えた教員間での教育や授業科目の連携をできる環境を整備することができた.さらに,本研究の次の段階の取り組みとして,学問分野連携型の協働学修をプログラムすることができ,従来行っていた学問分野単独型の協働学修と比較して,学問分野連携型の協働学修における達成度のほうが向上するなどの教育改善効果も明らかにすることができた.
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