研究課題/領域番号 |
26350330
|
研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
橋本 都子 千葉工業大学, 工学部, 教授 (50297983)
|
研究分担者 |
上野 佳奈子 明治大学, 理工学部, 准教授 (10313107)
倉斗 綾子 千葉工業大学, 工学部, 助教 (80381458)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 小学校 / 教室空間 / 家具配置 / オープンプラン / 使われ方 |
研究実績の概要 |
■オープンプラン小学校を対象とした調査研究 教室空間デザイン上の新しい試みがなされたオープンプランの新築小学校(立川市立第一小学校)を対象に、1)観察調査、2)教師アンケート調査および教師ヒアリング調査、3)小学校校長および設計者への結果報告会の実施を行なった。また本成果は、2015年9月に開催予定の日本建築学会において、口頭発表を予定している。1)および2)に関する調査の結果概要を次に述べる。 1)観察調査では、学習内容、生活行動や季節による家具配置や可動家具の変化を継続的に記録した。机配置形状の特徴として、斜め配置や扇形配置が見られ、教室後方にスペースをつくって授業時の作業エリアとして活用している例も見られた。教室に設置された開閉できる可動の建具の使用状況として、調査の度に教室を閉鎖的にするクラスが増加したが、教師ヒアリングから冬期による寒さの影響であることがわかった。また授業時と休み時間で可動家具を移動させて教室への出入口を確保している状況も確認された。 2)教師アンケート調査および教師ヒアリング調査は、新校舎の教室環境や音環境に関する教師の評価を把握することを目的に行なった。その結果、教室まわりの使い勝手は概ね良く評価されていたが、教室環境の評価は教室配置の方位や風の入り方等が異なりユニットにより評価が異なった。また、教室レイアウトの自由度が高いこと、ワークスペースとの連続性が高いこと等は良い評価であるが、教室が明るすぎることや寒さに対しては困っている状況が把握された。また音環境や温熱環境の理由から「教室を閉めきれた方が良い」という意見があった。 ■国内のオープンプラン型の学校を対象とした視察および授業参観 東浦町立卯ノ里小学校、和泉町立三加和小中学校、宇城市立豊野小中学校等の視察見学を行なった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新しい教室空間の提案を行なっている事例として、立川第一小学校の調査研究を、小学校からの全面的な協力を得て進めており、今年度も継続して行なう予定である。これまでの研究成果は、小学校校長および設計者に報告を行い、見つけられた問題点は懸案事項を共に解決していくという本研究の目的も概ね達成している。また本研究成果を広く社会に公表することを目的に、日本建築学会での発表も予定している。さらに、熊本周辺の小中学校の視察も行い、オープンプラン教室を活用するための方策等について検討を行った。また、これまでの研究成果を、日本建築学会技術報告集に投稿して採用された。タイトルと掲載号は、「オープンプラン小学校の教師と研究者の連携による学習環境づくりの実践と方法 美浜打瀬小学校でのとりくみ(その1)」第48号(2015年6月号掲載予定)、「教師と連携したオープンプラン小学校における教育実践 音環境の保全と響きの活用に向けた取り組み」
|
今後の研究の推進方策 |
今年度も引き続き、立川第一小学校を対象に、調査研究および学校長(教諭)や設計者との連携と調査結果の共有を進めていく予定である。また、国内外のオープンプラン型の小中学校および改修の事例などの視察を行ない、オープン型教室のより有用な活用方法に関する方策についての知見を深めて社会に広く発信して行く予定である。そして、これまでの研究成果を、日本建築学会技術報告集に引き続き投稿するなど、さらに積極的に研究を進める予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
調査研究の対象校が、首都圏(千葉市、立川市など)となった結果、調査研究の実施に必要となる交通費が少なかったこと、国内外の学校視察に関する支出も少なかったこと等が、主な理由としてあげられる。
|
次年度使用額の使用計画 |
2015年度は、本研究に関連する学校視察(国内、国外)について、さらに積極的に進める予定である。また、昨年度の研究成果の報告等も含めて、計画的に研究発表費、旅費を使用する予定である。また、調査研究の実施に必要な消耗品や備品についても、購入の検討を計画的に行い、有効かつ適正に研究費を使用する予定である。
|