2017年度から開始された放送大学の放送授業の受講生を対象に学習記録をWeb上に残し振り返りを促すために、maharaを用いて eポートフォリオ作成する環境の提供を行った。学生の自発的な利用について調べる目的で、ログインしてページを見ることを課題にするなどの条件をなくした。また、放送授業を作り直し、放送授業で内容について紹介するだけに留めた。学生の人数などを調べたところ、2017年度にログインした学生は600名程度であり、登録したユーザーの4分の1程度であった。対面で顔を合わせて指導することができない環境では、学生は与えられた課題はこなすものの、そこから学生同士が主体的に学習記録を公開し、それをもとに議論を行うことは難しい。 別のシステムで学生同士が対話をするだめの電子掲示板を提供しているが、環境があっても教員の参加がなければ活発な活動にはならなかった。そこには、多様な学生がいることから、顔の見えない相手とのグループでの学習について懸念があること。また、教員の負担を考えると、学生の活動を把握するためには、それぞれのユーザーとしてログインして確認しか方法しかなく、多数の学生を抱えているときには負担が大きい。 放送大学でも2016年度からWebのみの学習で単位を取得することのできるオンライン科目も始まったことから、オンラインの学生に向けたより少数の学生での取り組みが今後望まれるように思う。 また、実際の運用の結果について十分な分析を行うことができなかった。今後は利用状況についてのより詳細な分析を行い、さらに個別のインタビュー調査をして、今後の開発へと活かしていきたいと考えている。
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