研究課題/領域番号 |
26350336
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研究機関 | 公立はこだて未来大学 |
研究代表者 |
冨永 敦子 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (60571958)
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研究分担者 |
向後 千春 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (00186610)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | eラーニング / メンタ / ティーチングアシスタント / メンタ資質 / 学習支援 / TA資質 / 人財育成 |
研究実績の概要 |
昨年度の準備期間を経て,本年度はフェーズ2実践期間(3年間)の1年目であった.準備期間では,学習者がメンタにどのような資質を求めているのかを調査し,メンタ資質重視度として「学習者への指導」「学習者への対応」「優しい言葉づかい」「仕事の遂行」の4因子を明らかにした.本年度は,この4因子の中で学習者が最も重視していた「学習者への指導」を育成するためのトレーニングを開発・実施した.トレーニングの受講者は早稲田大学人間科学部通信教育課程(通称eスクール)のメンタ52人,内容はガニェの学習成果5分類,9教授事象をもとにした学習者向けのミニ授業の設計であった. また,本年度は,メンタと同じ学習支援者であるティーチングアシスタント(TA)についても同様の資質調査を行った.対象は公立大学の情報系学部の学生143人であった.因子分析の結果,TA資質重視度では「授業内容に関する専門知識」「学習者個別への対応」「学習者への励まし」「教室全体への対応」の4因子が抽出された. メンタ資質重視度とTA資質重視度の因子構造を比較したところ,両者は学習内容,学習者個々人への支援態度,学習者の気持ちへの配慮,教室全体への対応から構成されており,ほぼ同じ因子構造を示していた.メンタはネット上での学習者支援,TAは対面授業での学習者支援というように,両者の授業形態は違うものの,これらは学習者を支援する役割を担う職種にとって共通して重視される資質であることが示唆された.来年度以降は,メンタ育成だけでなく,TA育成も視野に入れて研究を進めていきたい.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2015年度の計画は,1)メンタ育成プログラムのプロトタイプコースの設計,2) プロトタイプコースの開発までであったが,メンタ育成プログラムのプロトタイプコースとして,早稲田大学人間科学部通信教育課程(通称eスクール)のメンタを対象としたトレーニングを設計・開発し,実施するところまで進めることができた. また,今年度は,研究対象をティーチングアシスタントへと広げ,同様の資質調査を行った.ティーチングアシスタントは,メンタと同じ学習支援者である.調査結果から,ティーチングアシスタントの資質重視度はメンタとほぼ同じ因子構造を持つことが示唆された.このことから,メンタとティーチングアシスタントは同じ構成・内容の育成プログラムを適用できる可能性が生まれた.
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今後の研究の推進方策 |
2016年度の計画は,今年度に引き続き,メンタ育成プログラムのプロトタイプコースの開発・実施・検証である.2014年度,2015年度に行ったトレーニングは単発のものであった.2016年度は体系的なトレーニング開発を目指す. また,TA育成プログラムについてもTAガイドブックの開発,TA勉強会の実施を計画する.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度のメンタ育成プログラムのプロトタイプコースは,早稲田大学人間科学部通信教育課程のメンタ研修の一環だったため,設計・開発・実施に必要な経費を早稲田大学に負担していただいた.そのため,予算計上していた経費が未使用となった.
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次年度使用額の使用計画 |
研究代表者は函館在住,研究分担者は東京在住のため,打ち合わせのための旅費が生じる.
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