研究課題/領域番号 |
26350340
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研究機関 | 金沢学院大学 |
研究代表者 |
吉田 一誠 金沢学院大学, 美術文化学部, 講師 (90585879)
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研究分担者 |
辻合 秀一 富山大学, 芸術文化学部, 准教授 (60197689)
高田 伸彦 金沢学院大学, 公私立大学の部局等, 教授 (90329433)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 立体視 / 3D / 2D / CG |
研究実績の概要 |
平成26年度は,静的空間での3D立体視による表現に力点を置き、美術の分野では陶器や漆器を中心とする美術品、文学分野では、詩句を題材とした制作準備を進めた。九谷焼と輪島塗の技法、材質、描かれるモチーフについて調査し、映像制作に係る適正の検討を進めるとともに、既存の機材をベースとした撮影を通して技術の習得を行った。その結果、静止画撮影、静止画表現において、質感や奥行き感を主とした美術品の実像再現については、投影映像の場合、投影対象物表面に光沢感があるほど、また高低を伴う装飾部分が多いほど、映像中視差の調整、視聴時の視点の合焦が困難であることが確認できた。作品に関しては,題材となる撮影対象作品制作者のコンセプトなどをヒアリングおよびディスカッションを通して映像化の検討を進め、平成27年度に向けた準備を整えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度に実施を予定していた、静的空間での3D立体視による表現の研究について、表現の題材となる美術品や詩句についての調査はほぼ完了した。美術の分野では、陶器・漆器を中心とする美術品、文学分野では詩句を対象とした、それぞれの表現媒体、技法、材質、描かれるモチーフについての調査、APS-Cセンサーを用いたデジタル撮影技術習得も完了した。研究拠点にて所蔵している美術品を対象とした3Dカメラによる立体視の静止画の撮影を行い、静止画表現における質感や奥行き感などに主眼をおいた美術品の実像の再現を試みたが、これは投影映像時に投影対象物の質感が視聴に及ぼす影響が思いの外大きく、安定した視聴環境が保証されている表現には至っておらず、さらなる検証を行う必要が出てきた。また、映像産業の規格が移行期と重なり、機材の互換性検証が新たに求められたことが、本研究がやや遅れている点である。作品に関しては、作家とのヒアリングやディスカッションが進められており、平成27年度に向けた映像化準備は概ね整ったといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、平成26年度で実施した静的空間での美術品や俳句・連句作品の3D立体視表現の知識や技術を活用し、動的空間における3D立体視の表現を実現する。並行して、今までの2DCGや3DCG静止画による表現技法を参考にして、今回の表現技法と比較検討しながら、句と絵画・画像の相乗効果による表現を目指す。その際、主として20年度~22年度までに蓄積した俳句・連句の静止画・動画作品との表現技法の比較検討も試みる。これらを作家(美術品)や詠み手(俳句・連句)が偏光メガネや裸眼などの手法を用いて評価し,3Dコンソーシアム安全ガイドラインを基準にして感性評価によるアンケートを行う。創作者側からの観点での再検討を行い創作者と鑑賞者との差異なども評価検討項目とする。また、Webにアップロードして鑑賞者からの評価に関しても分析・考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
申請段階で当研究はハイビジョン画質と3D立体視を念頭に計画していたが、購入を予定していた機材の多くが映像業界の新規格移行の流れによって入手困難となり、既存機材との互換性などのより慎重な検討が必要となり購入時期に遅れが生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は互換性検証が進んだため早期に新規格対応環境構築に使用する。
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