平成28年度には,平成27年度までに撮影・編集してきた静的空間や動的空間での美術作品や地域の伝統的文様をテーマとした作品を体系的に整理した。また,27年度までに得られた、「撮影・編集方法」を基にしたカリキュラムの構築を目指した。当初、主として対象としているメディアデザイン学科の学生を対象として考えていたが、学科改組に伴い芸術学科の学生もとの対象とし、本格的に実践し、その結果を踏まえ日本の次世代集客コンテンツ産業のクリエイター育成を目的とするカリキュラムの完成を目指した。学生らの知識修得のための座学的講義と、技術修得のための屋内演習を経て、地域の協力を得て屋外建造物への公開投影実践(1件)と金沢市中心街で伝統工芸品そのものへの公開投影実践(1件)を実施することができた。今迄になかった学習内容への満足度と、学修の成果は認められたが、今後、如何にしてより高度な表現を修得できるようにするのかを今後引き続き検討する必要がある。これは、我々が継続して研究を行ってきた俳句・連句の文学的,絵画的(2D・3DCG)表現及び情報関連の実績を踏まえたものであり、3D立体視を含めたプロジェクションマッピングなどの投影映像による美術や文学分野での応用表現として、美術・詩句の作品の芸術性を主体とした表現部分をデジタルメディア上で再現し、多面的な表現方法の確立を目指したものであるが、美術品と歴史的建造物の質感表現を超えた情緒表現がこれからの創作の課題として見えた。
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