教職志望の学生に対しては、授業方法の理論とともに、実際の授業を記録した示範授業ビデオを視聴させることが有効と考える。そこで、2014年度は私立S小学校において、電子黒板とタブレットPCを活用した3回の授業研究(算数2回、体育1回)を実施し、ビデオで記録した。2015年度は、これらの授業ビデオを編集して基礎的な授業技術を紹介する示範授業ビデオを3本制作し、教育関係者へのDVD配付を通して広く教育界に提供した。さらに、公立の男女共学のA小学校とB中学校においても授業研究を計画し、2015年度に4回、2016年度に4回、計8回の授業研究を実施し、ビデオで記録した。 2016年度は、これらの授業ビデオを編集して、小学校の国語、社会、算数、理科についてそれぞれ1本ずつ、中学校の国語、地理、数学、理科についてそれぞれ1本ずつ、計8本の示範授業ビデオを制作した。いずれも電子黒板とタブレットPCを活用した授業である。これは、学びのイノベーション事業の成果をふまえて提唱された、情報通信技術を活用した「新たな学び」に対応するためである。 これらの示範授業ビデオは日本教育情報学会等で発表し、DVDの配付を通して広く教育界に提供する予定である。なお、基礎的な授業技術として、発問や話し合い、机間指導などの技術があるが、これらについては印刷物としてまとめた。今後、学会等で発表し、公開する予定である。 また、2015年度制作の3本の示範授業ビデオを大学の「模擬授業演習」等の受講生に視聴させ、質問紙法で有効性を評価させた。その結果、電子黒板とタブレットPCを活用した授業を経験した学生は、経験しない学生よりも高く評価する傾向があった。すなわち、電子黒板とタブレットを使った授業の良さは頭の中だけで想像することは難しく、自分が実際に経験することが必要と思われる。
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