研究課題/領域番号 |
26350346
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研究機関 | 皇學館大学 |
研究代表者 |
小孫 康平 皇學館大学, 教育学部, 教授 (60260022)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 教育工学 / ビデオゲーム / ゲームリテラシー |
研究実績の概要 |
1.ビデオゲーム操作活動中の脈波のカオス解析およびNIRSによる脳血流分析 本研究では、2Dタイプのゲームである「ファミリースタジアム」と、裸眼でゲーム内のキャッチャーの後方から見た視界が立体的に表示される3Dタイプのゲームである「スーパーパワーリーグ2」を用いて、脈波のカオス解析およびNIRS(近赤外線スペクトロスコピー)による脳血流分析を行った。その結果、(1)3Dタイプのゲーム中における平均リアプノフ指数相対値は、ビデオゲームの未習熟者の方が習熟者より大きく、緊張状態が高いということが示唆された。なお、平均リアプノフ指数相対値とは2Dタイプのゲーム中におけるリアプノフ指数の平均値を1としたとき、3Dタイプのゲーム中におけるリアプノフ指数の平均値との比から求めたものである。(2)交感神経機能の指標である平均LF/HF相対値は、未習熟者の方が習熟者より大きく、3Dタイプのゲームにおいて緊張状態が高いということが示唆された。(3)ビデオゲームプレイ時における習熟者の脳血流の変化は小さい傾向が見られた。 2.ビデオゲームの利用・満足と依存傾向との関係 本研究では,大学生を対象にビデオゲームの利用・満足と依存傾向との関係について検討した。その結果、(1)ビデオゲームの利用・満足に関しては、欲求不満発散因子、自己陶酔因子、能力競争因子の3因子が抽出された。(2)ビデオゲーム依存傾向の高得点群では、欲求不満発散因子得点は高かった。一方、低得点群では低かった。(3)ほとんど毎日プレイする群は、欲求不満発散因子得点が高く、ほとんどプレイしない群は低かった。(4)ビデオゲーム依存傾向得点と欲求不満発散因子得点との間に、中程度の相関が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、2Dタイプのゲーム、3Dタイプのゲームを用いて、未習熟者・習熟者のビデオゲーム操作活動中の脈波のカオス解析およびNIRSによる脳血流分析を実施した。また、大学生を対象にビデオゲームの利用・満足と依存傾向との関係について検討した。
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今後の研究の推進方策 |
ビデオゲームは、リアルタイムで能動的に応答していくため、自律神経系の反応は、視覚刺激に加えて高次機能(認知、記憶など)による影響が含まれる。したがって、プレイヤーの「慣れ」も考慮した実験が必要となる。また、生理指標を用いた従来の解析結果の多くは、1回の測定であるが、個人差は大きいという問題が生じる。そこで今後の推進方策としては、同一被験者で繰り返しプレイをさせ、慣れに伴うストレス変化を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては、脈波測定装置およびNIRSの測定装置等の購入価格が予定より低かったことがあげられる。
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次年度使用額の使用計画 |
使用計画としては、脈波およびNIRSによる脳血流を計測するとともに、脳の活動(α波、β波、θ波等)を計測し脳機能と心身状態を把握する実験を行う予定である。そこで、脳の電気活動をキャッチして脳波(EEG)を記録、解析する脳波計が必要である。脳波計を用いて、脳波のリアプノフ指数の時間遷移およびカオスのアトラクターを測定する。
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