研究課題/領域番号 |
26350347
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研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
深見 友紀子 京都女子大学, 発達教育学部, 教授 (10283053)
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研究分担者 |
堀田 龍也 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (50247508)
井手口 彰典 立教大学, 社会学部, 准教授 (00469412)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | デジタル教科書 / タブレットPC / ICT / インフォーマルラーニング / 教育クラウド / 一人一台端末 / 模範演奏映像 / 反転授業 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、現在、最も「情報化」が進まない教科である音楽科において、デジタル音楽教科書とICT機器を組み合わせたデジタル学習環境の整備、および『21世紀型音楽室』の構築を実現することである。 初年度の平成26年度には、音楽科でICT化が進まない原因の調査(文献)と、ICT(無線LAN、タブレットPC、電子機器、音楽系ソフトウェア等)を活用した「音楽インフォーマルラーニング」実践を行った。実践発表は、平成26年7月に、「ICT Music Session Vol.1」として開催し、音楽アプリの活用性、ロイロノートを使用した音楽学習のプレゼンテーション、遠隔レッスン、電子打楽器・スマートフォンによる演奏を通じたその教育的可能性の提示を行った。聴取メディアの変化、ポップス教材や構成主義学習理論等の、「音楽インフォーマルラーニング」の実践と密着に関連する動向把握にもつとめた。 また、平成27年4月の発売に先行して公開された、小学校版指導用デジタル音楽教科書サンプル版の分析を行い、デジタル教科書の本質的な強みを生かしたコンテンツとはどのようなものであるか、CD等の既存メディア、教育クラウド等との望ましい併存の在り方について探った。 『21世紀型音楽室』構築の第一歩として、“児童一人一台端末”環境にある東京都の小学校において、教員のリコーダー模範演奏映像を小学校5年生全員のタブレットに入れて家庭学習を促し、教育効果を図る実験をした。タブレットPCによる、視覚情報と聴覚情報を一体化させた学びであり、音楽科における「反転授業」といえるこの実験については、平成27年夏から秋にかけ学会で発表するために分析・考察中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1. 平成26年度に実施予定だった項目の中で、実現できなかったのは、小学校教員へのヒヤリング調査であった。これは、小学校音楽科においてICT活用が進まない原因を把握することを目的とするものであるが、諸条件が整わなかった。 2. 他方、予定より進んだことは、小学校版指導用デジタル音楽教科書の分析、および実際の小学校現場での実践であった。 3. ICTを活用した「音楽インフォーマルラーニング」実践については、概ね予定通りであるが、音楽アプリの教育的検証に関しては、音楽(教育)関係アプリが多く発売され、“玉石混交”の状態であること、かつ、音楽教育に有益かどうかを検証するマンパワーが不足していることが原因となり、少々難航している。どのような検証システムを作っていくかが課題となっている。
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今後の研究の推進方策 |
1. 研究自体は比較的順調に進んでおり、大幅な研究計画の修正は必要ないと考える。 2. 「21世紀型音楽室」構想の提案に関して、できる限り多くの実践を積み重ねたいと思っている。 3. 「音楽インフォーマルラーニング」実践に関しては、参加者の子どもを探すのに苦心しており、保護者の理解を得られるように努力したい。 4. 音楽科におけるICT活用の状況は不活発であり、また小学校現場には音楽が得意ではない全科教員も多いため、そうした事情に配慮を施した「21世紀型音楽室」を構想できればと考えている。
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備考 |
ICT Music Session Vol.1 神楽坂セッションハウス 2014年7月27日
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