研究課題/領域番号 |
26350350
|
研究機関 | 中部学院大学 |
研究代表者 |
山崎 宣次 中部学院大学, 子ども学部, 講師 (50622635)
|
研究分担者 |
森廣 浩一郎 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (40263412)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 小学校 / 通知表 / 所見 / テキストマイニング / よいとこみつけ / 校務の情報化 / 教師教育 |
研究実績の概要 |
複数教員の小学校通知表の所見データから当該教員の特徴単語と当該教員以外の教員が多用する特徴単語を独自手法を用いて抽出し、その特徴単語を当該教員に提示することで通知表所見の記述支援の可能性を試みた。これについては日本教育情報学会・日本教育工学会・教育システム情報学会にて報告しただけでなく、日本教育情報学会の学会誌に投稿し、採録された。 今回、テキストマイニングの手法を用いた独自手法にて特徴単語を抽出したが、他の既存の手法と比較してどのような特性があるかについての検討はできていなかった。そこで、既存の9つの統計的手法と今回使った独自手法を比較検討したところ、有効とされる既存の手法と同じような特徴単語を抽出できることが分かった。特に独自手法は既存の手法と比較し、計算が簡単で現場の教員にも理解しやすいため、独自手法での特徴単語抽出は意義があると考えられる。これらの成果はすでに論文としてのまとめは最終段階にあり、近日中に学会誌に投稿する予定である。 さらに、独自手法によって抽出された特徴単語を使い、当該教員に所見記述支援として提示する方法を検討し、ノートパソコン等で提示できるようなソフトウエアを表計算ソフトウエアを用いて試作した。この試作したソフトウエアを使って、実際に小学校教員3名に対し提示を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
通知表所見の記述支援については、特徴単語抽出によって、実際に小学校教員に提示すでき、ほぼ予定通り研究は進展した。そして、成果を論文にまとめるところまでできた。しかし、「よいとこみつけ」についてはデータの入手が遅れているため、分析ができていない。しかし、通知表の所見と「よいとこみつけ」は同じように分析できるため、データを入手できれば分析はそれほど時間はかからない。実証実験校の「よいとこみつけ」のデータ入手については入手許可は出ている。ただ、実証実験校の「よいとこみつけ」の実践が始まって2年ほどしか経っていないため、より多くのデータを入手するためにデータ入手時期を遅らせている。また、「よいとこみつけ」は通知表の所見に比べ、機密情報としての性格がやや弱いため、通知表所見と比較すると割合入手しやすく、実証実験校以外からも入手しやすい。以上のことより、「よいとこみつけ」の分析等は出来ていない点では当初の計画より遅れているものの、通知表所見の分析・記述支援がある程度順調に進んでいるため、「おおむね順調に進展している」とした。
|
今後の研究の推進方策 |
通知表所見の記述支援については、特徴単語を使った記述支援によってどのように通知表所見が変化したかを調べ、記述支援の効果を検証すると共に、支援対象者の数を増やすことで、効果の妥当性を高めたい。 ある程度、通知表所見の記述支援の検証が進んだ段階で、「よいとこみつけ」についても分析を行っていきたい。そして、これらの研究から、教師はどのような視点で児童を評価するかについて分析し、評価の視点を広げることを通して、教師が児童を評価する力量形成について総合的に分析してまとめていきたい。 なお、課題としては、今まで依頼していた実証実験校の校長が退職や移動等で所見の記述支援の対象教員を確保が難しいことなどが問題となる。そこで、現在の実証実験校以外にも新たに実証実験校を依頼しているところである。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今回の科研費決定以前に、実証実験校である小学校に校務支援システムとして導入したサーバー機が中古品であっため、故障を見越して新規のサーバー機の導入を計画していたが、特に問題なく稼働しているため、新規のサーバー機の導入をしなかった。その分、各教員が携帯する12台のタブレットPC導入に切り替えた。 また、作業等は全て自分たちで行い、人件費や謝金を使用しなかった。 これらが昨年度の計画との差額となった大きな理由である。
|
次年度使用額の使用計画 |
当初の実証実験校の管理職が代わったため、今まで程の協力関係は若干難しくなってきた。そこで、新たな実証実験校での校務支援システムの導入のための費用として使用していきたい。 また、特徴単語抽出のためにより効率的なソフトウエアの導入も検討している。
|