研究実績の概要 |
初年度の調査により、OER(公開教育資源)レポジトリは、教材の収蔵に加え、メタデータ付与や標準化による相互運用性の向上、OERを利用した教育実践例や課題を共有する場の創設など、コンテンツと利用者をつなぐ役割へと機能が変化しつつあることがわかった。 2年目は、レポジトリの調査と平行して行っていたOERのカスタマイズの形態の調査に基づき、理工系OERを英語LO(単位教材)へと再構築するために、文法項目、機能表現、および扱うテーマをリストアップした。また、教材の質保証の観点から、オープンエデュケーションの認証評価に関する情報収集を行った。 最終年度は、過去2年間の実績に基づき、技術英文を書く際の基礎となる高専生が習得すべき文法事項、言語機能 および、内容を英語で知っておくべきテーマを決定したのち、研究代表者らで英文を書き下ろし、高専生のための理工系基礎英語テキスト「Fundamental Science in English」を出版した。リストから10のテーマを精選し、合計67のLOで構成され、学習者のレベルに応じた練習問題やアクティビティを複数の媒体で用意した。同テキストは、高品質なSTEM(Science, Technology, Engineering, Mathの頭字語)OERを英語LO化するためのモデルを示すものと言えよう。 最終年度には、高専専攻科生用の英文要旨(800字程度)作成を支援するLOも作成した。受講生とともに収集した英語による先行研究や関連記事から、論文構成要素の展開方法や研究分野特有の英語表現を蓄積し、7つの研究テーマ別LOが完成した。 今後は、理工系基礎英語テキストをテクニカルライティング用のアクティブラーニング教材として利用するための研究と、ライティングプロセスの可視化による無理なく英語論文作成技能を学べる教材を開発することになっている。
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