ネットワークの普及により,自学自習や生涯学習に有効な教材や情報をネットワーク経由で入手可能である。しかし,あまりにも多くの情報があるために,必要な教材や情報を入手するには多くの時間と労力を要する。特に,ビデオ中から必要なシーンを即座に閲覧することは,非常に困難である。そこで,ビデオ中から話題情報を多く含む音声情報を抽出し,音声認識した情報を用いて講義ビデオを検索するシステムを開発することとした。これにより,これまで時間と労力を要した作業が即座に自動的に行われるため,利用者は学習内容に集中できる。また,学習内容について,ビデオ情報を含むいろいろな情報から学習できるため,多面的に学習内容をとらえることができる。対象となる教材は日本に限らず世界中に存在するため,各種知識を統合することにより,英語のビデオ教材も検索にできるようした。 平成26年度は,国内の複数の教育機関のビデオ教材を収集し,システム性能を評価する環境を整備した。また,検索対象の先頭シーン,前後のシーン,全体のシーンを線形補間したコンテンツ補間方法を提案した。 平成27年度は,海外のビデオ教材を収集し,システム性能を評価する環境を整備した。音声認識性能や翻訳性能によって類似したシーンの検索性能が劣化することが予想される。そこで,シミュレーション実験により,単語正解率によってシーンの検索性能が概ね推測できることを確認した。 平成28年度は,関連講義ビデオ検索システムの開発・公開した。本システムの開発により,海外を含めた複数機関のビデオ検索及び関連ビデオシーン検索が可能となった。現在閲覧しているビデオシーンなど注目しているシーンと関連した他の講義のビデオシーンを自動検索するシステムの例はこれまでにない。また,システムのソースコードも公開しているため,拡張が容易である。さらに,学習目的以外の用途でも幅広く応用可能である。
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