本研究の目的は,1950-1960年代における米国から日本への原子力技術の導入の歴史に関して,公開された米国の公文書史料にもとづいて,その社会的背景について明らかにするものである.本研究が明らかにしたことは,米政府が日米間の共同研究や科学者の交流を推進することで,当時の日本で盛んにおこなわれていた米国の核政策や外交政策に批判的な科学者たちの社会的運動に対抗して,科学分野における日米間の友好関係を促進させようとしていたことである.本研究は,日本への原子力技術の導入もそのような米国の外交政策の一部として行われていた可能性を指摘することができた.
|