本研究の社会的意義は、事故が起こることを前提に原子力の安全対策が求められる今日、以下の問題点を抽出し、住民の安全を守ることを安全目標にした再検討が求められることを明らかにした点にある。1950年代にすでに、原子炉内に蓄積される人工放射能の環境への放出事故は「あってはならない事故」とされていたこと、一方で平常運転により環境中に放出される放射能は、原子力発電を選択する限りは許容せざるを得ないものとされたこと、そのため原子炉の潜在的危険性を技術力で克服することが原子力の安全目標とされ、事故について具体的な検討が行われなかったこと。
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